テレビではあまり紹介されないローカルチェーンの穴場を探るべく、食べ歩きが趣味という旅行ライターの高島昌俊氏にオススメを聞いた。知られざる県民のソウルフードここにあり!
「北海道だと回転寿司の『まつりや』。価格はやや高めですがメニューの数は地元チェーンの中でも多く、現地でも貴重な『真ほっけ』(税込284円)の握りなども食べられます」
北見市と札幌市内に複数の店舗を展開する焼肉チェーン「味覚園」も肉質、コスパともに◎だとか。
「北見は人口あたりの焼肉店の数が全国3位の〝焼肉の町〟。その中でチェーン店ながら人気店となっています。オススメは肉の盛り合わせと石焼ビビンバ、冷麺などがセットになった『味覚園ランチ』(税込2000円)。ランチ営業を行う店舗限定のメニューですが、東京の焼肉店ならこの倍の金額でもおかしくありません」
全34店いずれも静岡県内にある炭焼きレストラン「さわやか」も外せない。
「数あるローカルチェーンの中でも知名度は全国トップクラス。人気がありすぎて週末などは席に案内されるまで時間がかかることもありますが、『げんこつハンバーグ』(税込1540円=写真)は、県外からでも食べに訪れる価値があります」
また、新潟県民なら誰もが知っている「みかづき」には、他県にはない固有メニューがあるという。
「同店発祥の炒めた麺の上にトマトソースなどをかける新潟のB級グルメ『イタリアン』(税込420円)です。ソースはほかにエビチリやカレー、ホワイトソースなどバリエーションがあり、こちらも人気です」
そして、全19店すべて福井県内の「ヨーロッパ軒」は、地域特有のカツ丼を提供する有名チェーン。カツは卵でとじず、ウスターソースに各種香辛料を加えた秘伝のタレで味付けする、ソースカツ丼の元祖だ。
「基本はカツ3枚の『カツ丼』(税込1180円)ですが、エビフライと組み合わせた『ミックスカツ丼』(税込1280円)、メンチカツ2枚を乗せた『パリ丼』などもあります」
ラーメンでは奈良を中心に大阪・京都・愛知で14店舗を展開する「彩華」を挙げる。
「奈良では天理スタミナラーメンと人気を二分するチェーンです。スープに入っているニンニクの量が多く、好みは分かれますが、適度な辛みもあって、多めの白菜やニラ、豚肉などの具材とマッチ。体が芯から温まるので、寒いこの季節にはうってつけです」
お次は岡山県北部に14店舗を構える「つるや」。イートインスペースを備えた人気の弁当チェーンで、「メガW鶏カツ丼&小うどんセット」(税込1230円)など、デカ盛り系メニューがそろう。
「岡山市と倉敷市には出店していないので、県民でも知らない人が多いですね。それでも持ち帰り可能なメニューが多く、朝食メニューもある。飲食店が少ない地域なので重宝します」
九州では福岡県を中心に19店舗を展開する「むっちゃん万十」を推す。ムツゴロウの形をした〝変わり種たい焼き〟の中で、人気があるのはあんこ系より惣菜系の具材だ。
「一番人気は『ハムエッグ』(税込260円)で、お客の半数以上はこれ目当て。イートインコーナーがあるのは一部の店舗のみですが、軽食にもおやつにもちょうどいいサイズ感になっています」
同じ九州でも熊本と福岡で展開する「おべんとうのヒライ」は、弁当・惣菜店と飲食店、コンビニの3業態が共存。テイクアウトできる料理とは別に、弁当・惣菜メニューも豊富だ。
「飲食メニューの『ごぼう天うどん』(税込470円)は、九州のうどんチェーンでは定番ですが、ヒライは5本入りと多いので人気です。あと、ポテトサラダをちくわに詰めた惣菜『ちくわサラダ』(税込194円)は熊本のソウルフード。これだけを買いに来る人も少なくありません」
沖縄ではご当地バーガーチェーンの「ジェフ」を挙げる。ゴーヤー入りの卵焼きを挟んだ「ゴーヤーバーガー」(税込420円)はここでしか食べられない。
「あと、注文してから揚げ始める『フライドチキン』(税込320円)もファストフードのレベルを超えていると評判。沖縄県民だけでなく米軍基地の関係者にもファンがいるそうです」
旅行や出張で近くに行く機会があれば、ぜひ地元ならではの名店に立ち寄ってほしい。
(つづく)
※写真は「さわやか」の「げんこつハンバーグ」