見た目は同じだが関東では今川焼き、関西や九州では回転焼きとも呼ばれている大判焼き。中にはあんこやクリームなどが詰まっており、好物の方も多いだろう。
一方、たい焼きは全国的にこの名称で統一されているが、同じ魚ながら微妙に形を変え、違う名前で販売している地域もある。そのひとつが、福岡の「むっちゃん万十」だ。
これは有明海などに生息するムツゴロウの形をしており、大きな目が強調された可愛らしい見た目となっている。現在、福岡を中心に19店舗展開しており、地元のソウルフードに。大判焼きやたい焼きに比べると、少しフワッと生地に仕上がっている。
ただし、最大の特徴は具材。黒あんや白あん、カスタードクリームといった定番の中身もあるが、むっちゃん万十のウリは、豚角煮やハンバーグ、ウインナー、ツナサラダといった惣菜系メニューが充実していること。なかでも看板商品は、売り上げの半分以上を占めるという「ハムエッグ」(税込260円)だ。
ハムと卵、さらにキャベツがマヨネーズと絶妙なバランスでマッチ。おやつとしてはもちろん、食事代わりにもなる。クセになる味で長年のリピーターも多い。
「マヨネーズは市販のものと違って、熱を加えても卵黄と油が分離しにくい同店特製のもの。しかも、たっぷり入っているのでマヨラーにも大人気です」(フードライター)
なお、こうしたたい焼きの亜種は、他の地域にも存在する。鯉のぼりの国内有数の生産地、埼玉県加須市には「こいのぼり焼き」、新潟県新発田市には金魚をモチーフにした郷土玩具を象った「金魚台輪焼」なんてものも。東京都昭島市や茨城県常陸太田市、長崎県東彼杵町など複数の地域では「くじら焼き」が販売されている。
「むっちゃん万十のようなローカルチェーンではないため、知る人ぞ知る存在ですが、いずれも地元では人気です」(同)
調べてみると、意外とある変わり種たい焼き。知らないだけで実際にはここで紹介した他にもいろんなものがあるのかもしれない。
※画像は「むっちゃん万十」