【うどん戦争】“福岡三傑”の名店が関東初進出「45分待ち」の大盛況/全国ローカルチェーンを食べ尽くす!(1)

 麺料理ではラーメンや蕎麦と並んで大人気のうどん。店舗数が突出して多いのは、「丸亀製麺」(845店※1月末現在)と「はなまるうどん」(419店)の2大チェーンだが、ローカル発の〝第3勢力〟も気を吐いている。

 注目は北九州発の「資さんうどん」だ。これまで九州や中国地方で店舗展開していたが、昨年10月に外食大手のすかいらーくHDが買収して子会社化。12月には関東1号店となる八千代店(千葉県)が開業。2月24日には両国店(東京都)のオープンを控え、今後は首都圏だけでなく全国に進出する予定だ。

 そんな同店をチェックすべく、記者が資さんうどん八千代店を隠密調査。最寄り駅から徒歩15 分ほどの国道沿いにあり、平日の午後1時半で本来なら空き始める時間帯だが、入り口の待ち合いスペースは空席待ちの客で大混雑。案内されるまで約45分という大盛況ぶりだった。

 注文したのは、人気の「肉ごぼ天うどん」(税込790円)と「ミニぼた餅」(税込110円)。つゆは関西風のあっさり出汁で、麺は柔らかいと聞いていたが、意外とコシがある。客に話を聞くと、すでに何度も通っている人も多く、味のクオリティとこの価格ならリピーターが増えるのも納得だ。

 ただし、資さんうどんの地元・九州は、魅力的なローカルうどんチェーンが乱立する激戦区。同じ福岡県では、同店よりも早く首都圏進出を果たした「うどんウエスト」、九州北部3県で展開する柔らかな麺が特徴の「釜揚げ牧のうどん」もそれぞれファンが多く、〝福岡うどん三傑〟とも呼ばれている。

 他にも40年近い歴史を持つ「鳴門うどん」は、ほどよいコシの強さが特徴で、大分県では知らない者はいないほど。麺は同じ料金でシングル(1玉)、ダブル(2玉)、トリプル(3玉)から選べる度量の広さ。「ステーキ丼セット」(税込946円〜)といった丼物のレベルも高く、がっつり食べたい派にはオススメの店だ。

 そして、県内のみで展開する3チェーンが競い合うのが宮崎県。昭和7年創業と90年以上の歴史を持つ「三角茶屋豊吉うどん」をはじめ、無添加煮干しうどんの「きっちょううどん」、日向灘の海水で作ったミネラルたっぷりの自然海塩を含んだうどんを使用する「天領うどん」はさしづめ宮崎うどんの牽引役と言えよう。

 福岡のうどん同様、柔らか系なので子供や年配の方でも食べやすい。加えて、各店ともうどんは大半が300〜500円台と良心的な価格になっている。チキン南蛮や地鶏の炭火焼きに肩を並べる県民食といっても過言ではないのだ。

 また、中国地方も九州同様に地場系のうどんチェーンが強いエリア。岡山・兵庫・広島の3県で営業中の「むらさき」は、瀬戸内海を挟んだ対岸の本場に負けない讃岐うどんを提供。中でも香川の郷土料理「しっぽくうどん」(税込470円)は、本場の讃岐うどん専門店でもあまり見かけない同店の冬季限定メニュー。里芋やにんじんなど野菜や肉の煮込みをうどんの上にかけ、食べ応えも腹持ちもいい逸品だ。

 隣接する広島県では、広島市を中心に28店舗を展開する「ちから」がうどんチェーンとして根づいている。人気メニューのひとつに天ぷらを卵でとじた「天とじうどん」(税込740円)があるが、こちらもほかの店ではあまり見かけない。でも、ボリューム感も味も◎印を押せる。

 山口県にも県内32店舗のほか、中国地方や東京にも進出する「どんどん」がある。地元では「どんどん行く?」が「うどん食べに行こう」の同義語として浸透しているほど。

 うどん系ローカルチェーンが強いのは基本的に西日本だが、業界で異彩を放つのが愛知県。「山本屋本店」は、きしめんと並ぶ、名古屋名物・味噌煮込みうどんの人気チェーンで、「天ぷら入り味噌煮込みうどん」(税込2123円)は絶品。適度につゆを吸った大きな海老天との相性もバッチリで食欲をそそる。

 首都圏でうどん好きが多いことで知られる埼玉県では、関東全域に進出する「山田うどん」が有名だが、ここであえて挙げたいのは埼玉・東京などで20店舗を展開する「武蔵野うどん竹國」。つけ麺スタイルで食べるのが一般的なご当地うどんで、看板は「肉汁うどん」(税込850円)。野菜や肉などがたっぷり入った濃厚なかつお風味のつゆにコシの強い麺をくぐらせて食べる。一部店舗では麺・天ぷら・白米などがお替わり自由の「食べ放題」(税込1050円)を実施しており、こちらも人気だ。

 秋田県発祥の稲庭うどんの老舗として知られる「佐藤養助商店」は、県内をはじめ、都内や海外にも出店。醤油と胡麻味噌、2種類の味で楽しめる「二味せいろ」(税込1000円)はどの店でも注文数の多い主力メニューだ。

 地方ならではの特長を反映したローカルチェーンで、ぜひ食べ比べてほしい。

(つづく)

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