週刊文春などが報じた女性トラブルでタレントの中居正広が芸能界引退を表明、フジテレビからスポンサー企業が続々と撤退するなど、波紋は大きくなるばかりだ。
芸能担当記者が言う。
「この混乱で、もうひとつ注目されているのはNHK出身のフリーアナウンサーの明暗です。昨年4月、夕方の報道番組『Live News イット!』のメインキャスターに起用されたのは、NHK『ニュースウオッチ9』のMCを務めた青井実アナ。各局が夕方のニュースに力を入れる中で、最下位にあったフジテレビが期待をかけ、引き抜いたのが青井アナでした」
抜擢された青井アナは、視聴率的にはまだまだ日本テレビ、テレビ朝日、TBSの後塵を拝しているものの、「丸井」創業者一族の御曹司らしい堂々とした立ち居振る舞いや、NHKで鍛えられたアナウンス技術で善戦を続けている。だが、今回の問題により「ヤメNHK組で一番貧乏くじを引いた」と囁かれているのだ。
「ヤメNHK組」の代表格は、テレ朝「報道ステーション」の大越健介キャスターだ。ニュース番組の世帯視聴率トップで、常時10%台をキープしている。また昨年春から関口宏氏の後継としてTBS系「サンデーモーニング」のMCを務める膳場貴子アナも奮闘、関口時代からの高視聴率を引き継いでいる。
そして、23年から日本テレビ系情報番組「DayDay.」で総合司会を務めているのが、NHK時代にニュースの顔として活躍した武田真一アナだ。
「同時間帯視聴率では『羽鳥慎一モーニングショー』に水を空けられているが、スポンサーが重んじる、もっとも活動的な男女13~49歳の『コア視聴率』では朝の情報番組でトップを走っている。武田氏の主婦受けするソフトで落ち着いた語り口が好評なのです」(テレビ評論家)
昨秋、TBSで鳴り物入りで始まった元NHKの名物アナ・有働由美子の「有働Times」はどうか。
「平均的にはコア視聴率が苦戦しているが世帯視聴率は10%前後とまずまず。これでコアが回復すれば日曜の夜のニュースの核となります」(同)
こう見ていくとやはり、ひとり苦難の道となっているのは、昨年の大谷翔平邸の空撮騒動や、今回の中居事件に巻き込まれた青井氏か。テレビ局記者が言う。
「放送事業を監督する立場の村上誠一郎総務相が『早期に調査、対応することで、スポンサーや視聴者の信頼回復に努めていただきたい』というコメントを出した。これを受け元衆院議員でコメンテーターの金子恵美氏がフジテレビ系『めざまし8』で『総務相コメントが出た。場合によっては最悪のケースもありうる』と私見を述べたことからフジテレビ内に激震が走っている。もっとも青井アナに限っていえば、フリーキャスターなのでイザとなれば他局の番組に移籍すればいいだけ。フジが引き抜いて相当ギャラをはずんだといいますから、問題があるとすれば金銭面だけでしょう」
一方で、危機管理アドバイザーからは、こんな指摘も。
「フジテレビの中で中居問題をもっともフラットに報じられるのがNHK出身の青井アナではないか。局の内部情報を知りうる立場にもあるので、例えば自社で製作する検証番組の司会者にはうってつけ。ここで第三者が納得できる報道ができれば、視聴者やスポンサーの信頼が戻る可能性もある」
フジテレビの今後の対応とともに、青井アナの動向が気になるところだ。
(田村建光)