もう10年経ったのか!?
2016年1月に導入された「マイナンバーカード」には有効期限がある(カードの右上を参照)。カードが発行されてから10回目の誕生日までで、私の場合は25年4月23日だった。ちなみに、18歳未満の場合は5回目の誕生日までだ。
マイナンバーカードを更新するための通知が送付されてきたのは2月だが、仕事や私用に忙殺されて封を開けたのは3月。手続きは案外面倒で、新しい写真と必要事項を記入して送付する必要があった。その後、4月の初めに新たな通知が届いて、カードを受け取る日時と場所を予約しろとあった。しかしネットを開くと、自分の誕生日前に予約が取れる日はなかった。
今や法的な個人証明の最強カードだが、予約が取れた誕生日から3週間ほどの間、有効期限が切れたマイナンバーカードしか持っていないことになる。当然、有効期限が切れていたら使うことはできない。
昨年は「マイナ保険証」が読み込めないというシステム上のトラブルが多発したが、今年は発行から10年ということもあり、更新を迎える人が多い。そのため、混んでいるのだ。
ちなみに、マイナンバーカードの普及率は78・3%(25年4月25日時点)。9772万人が持っていて、マイナ保険証の登録者数は8301万人。そのうち今年、更新を迎える人は2768万人もいて、その数は昨年(1076万人)の2.5倍以上にもなるという。
従来の紙の保険証は有効期限内であれば、システムのトラブルの時や、私のようにマイナンバーカードの失効期間にも使えるので大切に保管しておこう。ただし、24年12月以降に転職や引っ越しなどで保険資格が変わった場合は、有効期限内であっても紙の保険証は使えないので要注意だ。
また、現在「資格情報のお知らせ」が順次送付されている。これがあると万が一、システムトラブル等でマイナ保険証の確認が行えない時でも、スムーズに保険証として使えるそうだ。ただし、マイナンバーカードとセットで提示することで初めて有効だという。
ちなみに、マイナ保険証を持っていない人には、従来の保険証の有効期限が切れる前に、保険証の代わりになる「健康保険資格確認書」(有効期間は5年以内)が送られる。
中にはマイナ保険証は持っているけど、紙の保険証を使っているという人もいるだろう。しかし、早くマイナ保険証に慣れておいたほうがいい。自治体によって対応が異なるようだが、紙の保険証の有効期限がきたら、マイナ保険証を使わざるをえなくなるからだ。
それに、マイナ保険証であれば高額の医療費がかった時、限度額適用認定証がなくても立替払いが不要(限度額を超える支払いが免除)になったり、所得によっては入院時の食事代が割引になることもある。
あと「自分はマイナンバーカードを作って10年も経ってないから更新の心配はない。しばらく安心」と思っている人も注意が必要である。実は、マイナンバーカードには2つの有効期限があるからだ。先に説明した10年の有効期限というのはマイナンバーカード本体の有効期限であり、マイナ保険証など電子証明書を紐づけていると、有効期限は5回目の誕生日まで。つまり、約5年間なのだ。
私もそうだが、マイナンバーカードと保険証を紐づけたのは5年ほど前、手続きをすると買い物に使えるポイントがもらえるキャンペーンがあったから。今年はあれから5回目の誕生日を迎える。なので、カードの更新が必要な人がとても多い年なのだ。
ということで、役所はとても混み合うので、通知がきたらすぐに開封し、手続きを進めてもらいたい。
ただし、たとえ電子証明書の有効期限が切れても、マイナ保険証は3カ月間だけは使えるそうだ。
佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。最新刊「新NISA 次に買うべき12銘柄といつ売るべきかを教えます!」(扶桑社)発売。