【昭和レトロ】深夜営業の飲食店減で「フード自販機」が再注目

 以前は当たり前のようにあったファミレスやファストフードの深夜営業。しかし人手不足や働き方改革などの影響もあり、24時間営業や深夜営業をやめる店が急増。地域によっては夜中に小腹が空いても選択肢がコンビニぐらいしかないケースが増えた。

 そんな中、にわかに人気を集めているのがフード系自販機。といっても、何十年も前に製造されたレトロ自販機で提供されるものだ。

 郊外や地方にファミレスやファストフードがなく、コンビニもまだ少なかった70~80年代、全国にはそば・うどん、ラーメン、ハンバーガー、カレー、弁当などなど、その場で食べることができる自販機を何台も設置したドライブインが全国各地にあった。時代の波には勝てず、その後は衰退の一途を辿ることになったが、そうしたスポットが再び注目を集めているわけだ。

 なかでもレトロ自販機の“聖地”とされているのが、神奈川県相模原市にある「中古タイヤ市場 相模原店」。自動車の中古タイヤ・ホイールの販売店だが、敷地の一角には100台以上のフード系や飲料系のレトロ自販機がズラリと並ぶ。ちなみに設置したのは16年と比較的最近のこと。オーナーが各地から古い自販機を集め、修理して再び蘇らせたというから恐れ入る。

 これほど規模の大きなところは他にないが、それでもフード系レトロ自販機が設置されたスポットは全国に約50カ所。関東では「24丸昇 小見川店」(千葉県香取市)、「オートパーラー上尾」(埼玉県上尾市)なども有名だが、いちばん多いのは群馬。また、西日本だと島根も根強く残っている地域だ。

 ネット上にはマップ付きでこうしたスポットを紹介している愛好家のサイトもある。中高年には懐かしく、若い世代には新鮮に映るフード系レトロ自販機。たまにはこんな場所で食事をするのも悪くないはずだ。

(高島昌俊)

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