同じく臭いが元で続けられなかったのは、バキュームカーの洗浄でした。胸まである釣り人のゴムスーツを着て、メタンガスを吸い込まないようガスマスクをして、ゴーグル、ヘルメットも装着。デッキブラシとハンドブラシを持たされて6畳程度の広さ、170センチほどの高さしかないタンクの中に入るんです。雇い主は保健所ですが、職員はタンク内には一切入りません。
壁面にこびりついている、乾燥する手前のドロッとしたヘドロに近いものをひたすらこすり落とすのですが、上からもそれがボタボタと落ちてくる。落とせば下に溜まっていきますよね。それを流すために「お願いします」と外からの操作で水を出してもらうのですが、一気に水が流れ込んできた瞬間、足をすくわれてベチャッと‥‥。ゴムの中にも汚水が入ってくるんですよ(苦笑)。
2時間で1台洗い終わって1万5000円。2台やりましたけど、割に合わないから「今日で終わりにします」って1日で辞めちゃいました。
ーーその後、大学を卒業して劇団入り。「ピンポンパン」に「むしばかめん」のスーツアクターとして高収入を得た時代もあったが、紆余曲折あり、前述のようにホームレス生活を経て、再び役者に復帰。猫ひろしの付き人を3年務めさせられた時期もある。この間、詳細は省くが、電力会社の敷地内の芝刈り、劇団主催者の運転手、ダンボール拾い、解体工事、銀座で駐車禁止エリアに停められたクラブ客の車を少し動かす仕事、高所窓拭きなど、多種多様なバイトを転々。現在は、急な仕事がある時にも抜けさせてくれる、某ファミレスの厨房に10年ほど籍を置いている。
50代前半から始めて、最初は21時から朝5時までの勤務。深夜手当が付いて、時給1200円からスタートしたのが6年目ぐらいには1800円まで上がった。週6で入れて200時間ぐらい働いてたから、月30万円に届いてましたね。
でも今は65歳を超えちゃって年金もらってますから、月80時間までしか働けない。週3〜4日18時から24時の時間帯で、厨房内は調理から洗いものまでワンオペですべてやってます。
ファミレスは若い子のバイトが多いですよ。嫌味なんか言われながら「じじいだから聞こえない」なんて返してやったりね。米津玄師の歌を口ずさんでたら、女子高生が「何で知ってるんですか?」なんて言ってくるから「知ってるよ、バカヤロー」って(笑)。そうした職場環境で若い子の感覚を吸収したりもして、漫談のネタ作りにも役立てているんです。
*週刊アサヒ芸能2月16日号掲載