脳卒中も防げる!「ウォーキング効果」を最大化する時間帯があった

 まだまだ日中の暑さは残るも、朝晩の風が秋めいてきた今日このごろ。「スポーツの秋」と言われるように、この時期になるとなんとなく体を動かしたくなる人も多いはずだ。とはいえ、夏の間に涼しい部屋でゴロゴロしていた体で、いきなりハードな運動を始めたら、かえって健康を害するリスクが大きい。そこで人気なのがウォーキングだが、実はウォーキングにも適した時間と、そうでない時間があることをご存じだろうか。

 出勤前にウォーキングで汗を流し、シャワーを浴びてスッキリしてから出社、という人も少なくないが、たしかに朝歩くことで朝日を浴び、神経伝達物質のセロトニンの効果により、自律神経が整うことは事実だ。しかし一方で、朝のウォーキングには大きなリスクが潜んでいる。というのも、人間の体は起床時、睡眠中に放出した水分により簡単に言うとカラカラの状態。水分が体内に行き渡っていないため、血液もドロドロだ。そんな状態で、いきなり歩き始めれば当然、脳卒中や心疾患が起こるリスクがぐんと高まる。その証拠に時間帯別の脳卒中および心疾患発症のデータをみると、午前中がダントツに多い。せっかく健康維持のためにウォーキングを始めたのに、それが病気の元となっては本末転倒だ。

 では、歩くのに最も適した時間帯はいつかといえば、それはズバリ、夕方だ。

 人間の体温が一番高くなる時間帯は夕方の4〜6時。そして、脂肪を分解する成長ホルモンの分泌量が増えるのが、午後から夕方の時間帯だとされる。つまり、夕方にウォーキングすれば、脂肪を燃焼しやすく効率よくエネルギーに変換できる。さらに交感神経が働くため、食欲を減少させる効果で間食を抑え、ダイエットにも最適。しかも、筋肉の適度な刺激により血液の循環がよくなり、ピーク時の体温がさらに上がる。体温はそこから徐々に下がっていくが、歩くことで就寝時の体温が起床時よりも高くなり、必然的に平均体温も上昇する。つまり、睡眠中の免疫機能向上も期待できるというわけなのだ。

 ただ、どうしても夕方の時間帯は、残業や会社関係、友人らとの外食等々の予定が入りやすい。なので、休憩を取れる人は会社の周りを早足で歩いてみたり、待ち合わせ時間前に少し早く出て歩いてみるのもアリだろう。猛暑が続いた真夏なら無理だが、これからの季節はさわやかな気分でウォーキングが楽しめるはずだ。

 その場合もダラダラ歩くのではなく、「なんとか会話できる程度」のスピードを保つのがコツ。脂肪を燃焼させることでダイエット効果が期待できるばかりか、交感神経の働きで心地よい睡眠を促してくれる、夕方のウォーキングで健康を維持しようではないか。

(健康ライター・浅野祐一)

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