【日テレvs旧統一教会】因縁バトルが再燃していた(3)有田芳生氏は「悪しき体質が進んでいる」

 そもそも日テレといえば、対旧統一教会においては強硬派で知られてきた。

 安倍元総理銃撃事件後に一気に火がついた旧統一教会問題にあって、最も手厳しく報じてきたのが日テレ系の情報番組「ミヤネ屋」だった。これに対して、教団側が反撃を開始。22年8月、「異常な過熱報道に対する注意喚起」と題したリリースをHPにアップした。民放局関係者が解説する。

「旧統一教会は教団と関係がある報道機関の名前を公表する、となかば『みずから暴露するぞ』と脅してきたのです。実際に、日テレの『24時間テレビ』において、女性信者がボランティアスタッフとして7年間にわたって関わり、『番組ボランティアをまとめる中心的な立場で活躍していた』ことを公表。お得意の動員力で自民党だけじゃなく、日テレも支えてきたというわけです。ところが、これに屈することなく、ミヤネ屋は旧統一教会への追及を続けた。これで世論は『がんばれミヤネ屋』に一気に傾いたのです」

 今回の「ザ!世界仰天ニュース」の騒動で、相変わらず旧統一教会はメディアに圧力をかけようとしていることがわかり、日テレとの因縁バトルが続いていることが判明したのだ。

 このバトルにおいて、ジャーナリストの有田芳生氏は当事者でもある。22年8月に日テレ系の情報番組「スッキリ」に出演し、その際に「霊感商法をやってきた反社会的集団だと警察庁も認めている」と発言したことに対して、教団から名誉棄損の訴訟を起こされたのだ。

「全40分の特集中、たった8秒間の発言で訴訟になりました。これが元で、私はテレビもラジオも出禁になった」(有田氏)

 しかし、今年3月に慰謝料として2200万円の支払いを求めた教団側の訴えは棄却されている。東京地裁は「名誉棄損としての違法性はない」と判断したのだ。有田氏は裁判所の姿勢を評価する一方で、テレビに対しては厳しい評価をしている。

「教団との戦いは80年代から、もう約半世紀も続いています。その中で、テレビ側は教団から『謝罪しろ』などクレームを入れられ、だんだん面倒くさいことは避けるようになった。対立するのは当たり前なことなのに。8秒裁判だって、そんなことくらいで萎縮して出禁になるなんて、あってはならないことです。特にネット時代が進むと同時にマスコミ各社もコンプライアンスを強化した管理体制になったことで、ますます悪しき体質が進んだように感じます」(有田氏)

 今回の配信映像でのカットという一件が起こるのも、「悪しき体質」が一因だと有田氏は見ている。

「教団とメディアの戦いの中では、教団がクレームを入れる上で著作権が1つの武器になっている。著作権侵害を訴えれば、報道の中身とは別になかなか逆らえないですからね。ならば、著作権侵害に当たるものを使用するにあたっては、クレームを突っぱねてでも使うか、それとも最初から使わないか、の明確な基準を作っておけばよいだけです」

 今回の騒動は終わりなきバトルの幕開けなのかもしれない。

*週刊アサヒ芸能9月5日号掲載

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