電車の「紙きっぷ」が廃止になる!?デジタル乗車券の導入で「ペーパーレス化」が加速中

 大都市圏の公共交通機関で広く採用されているSuicaやPASMOなどの交通系ICカード。2022年に国土交通省が行ったアンケート調査によると、66.8%の利用客が「普段から鉄道に乗車する際に使っている」と回答している。

 そんな中、私鉄大手の東武鉄道は、4月末に発表した「グループ中期経営計画2024~2027」の中で、「QR乗車券の導入による磁気乗車券の全廃」という方針を明記した。記念乗車券や旅行会社が販売する乗車券など、一部の例外はあるが、券売機などで発券する従来型の「紙きっぷ」を近い将来廃止すると公言したのだ。

「代わりに採用を計画しているのがスマートフォンに読み込ませたQRコード付きの乗車券。画面を改札機に読み込ませて通過するというもので、2023年10~12月には、東京の浅草駅や北千住駅など、一部の主要駅で実証実験が行われました」(鉄道ライター)

 海外では列車のチケットのペーパーレス化が進んでおり、中国の地下鉄や欧州ではすでに主流となりつつある。また、昨年開業したインドネシア高速鉄道も主なチケットはQRコード付きのデジタル乗車券だ。

 日本では4月末で廃止となった広島のスカイレールが13年に初めて採用した。翌14年に沖縄のゆいれーる、15年には北九州モノレールでも相次いで導入されている。さらに、22年にはJR東日本や近鉄、南海鉄道も実証実験を行っており、今後一気に普及する可能性は高そうだ。だが、QRコード式乗車券にも課題はあるという。

「実は、改札機の認識性能が交通系ICカードより劣るのです。そのため、しっかりとタッチしなければなりません。また、紙きっぷ利用者は、減少傾向にあるものの、国交相のアンケートでは21.5%とまだ一定数存在することもわかっています。高齢者にはガラケーユーザーも多く、いきなり紙きっぷを廃止してしまうと『チケット難民』が生まれかねません」(前出・ライター)

 とはいえ、紙きっぷがその役割を終えるのは、そう遠い未来ではなさそうだ。

(高島昌俊)

*写真はQRコードにも対応したゆいれーる(沖縄)の自動改札機

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