PayPayがローカル線で運用実験開始!「Suica包囲網」にJR東日本は?

 利用者を増やしているスマート決済サービスの「PayPay」。連日のようにテレビCMを放送し、その勢いを感じない日はない。そんなPayPayがついにSuicaの牙城を崩しにかかった。

 11月22日、群馬県の高崎駅と下仁田駅を結ぶ上信電鉄がPayPayを試験導入すると発表。12月9日から来年6月30日までの期間限定で、高崎駅で利用できる。上信電鉄はSuicaには一切対応していない。

「地方ローカル線がSuicaを導入しないのは、自動改札の機械をはじめ多額の費用がかかるからです。経営規模の小さな地方私鉄にはとても出せません。利用客が都心部に比べると少ないので、自動改札ではなく有人でいいというのも導入しない理由のひとつ。そこにPayPayは切り込んだわけです」(鉄道ライター)

 ただ、今回のPayPay試験運用はあくまで限定的なもの。駅窓口できっぷを購入する際、PayPayで支払いができるだけ。券売機では使えず、自動改札も設置されない。それでも実証実験の結果次第では、将来的に本格導入も十分ありうるだろう。

 また、地方ならSuicaのメリット、PayPayのデメリットも消えてしまう。

「Suicaは多くの利用客が自動改札を次々に通っていくことをあらかじめ想定して開発されました。そのため、わずかな時間で読み取りができ、定期入れなどから出さなくてもセンサーにタッチするだけで改札を通過できる。PayPayはアプリを立ち上げたり、カメラでバーコードを読み取る必要があり、速さには対応できないでしょう。つまり都心部で普及させるのは難しい。ですが、利用客が少ない地方のローカル線なら対応できるかもしれません。気がついたら地方の鉄道はPayPayばかりということも考えられます」(前出・鉄道ライター)

 Suicaを運用しているJR東日本がPayPayの攻勢にどう対応していくのか気になるところだが、JR東日本は早くも次の一手を打ち出している。カードやスマホでの「タッチ&ゴー」を必要とせず、カバンに入れたままで改札を通過できる「タッチレスゲート」の導入を検討していると11月27日に報じられた。早ければ来年にも実証実験を開始するという。

「読み取り部分の大きさや価格しだいですが、今後コンビニに導入されるかもしれません。そうなれば客はスマホやカードなどをレジ前で出す必要がなくなり、一層便利になります」(ビジネス誌ライター)

 17年11月には、大宮駅でコンビニの無人店舗の実証実験が行われた。これは、多数のカメラと人工知能を使って客がカゴの中に入れたものを判断し、店出口で合計金額が提示されSuicaで支払うというシステム。この店舗にタッチレスゲートが導入されれば、客は出口を通過するだけで支払いができる。財布やスマホを出す必要はない。新たな店舗スタイルを作り出す可能性を秘めているのだ。

 PayPayが口火を切ったキャッシュレス決済戦争はまだ始まったばかり。勝者になるのはどこだろうか。

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