米高官が「あと数週間でロシア軍が勝利する」明言したウクライナ戦争「最悪の結末」【AsageiBiz2024前半BEST】

 ロシアによるウクライナ攻撃が激化している。4月20日、米議会はウクライナへの追加支援のための緊急予算案を可決したが、それまでは与野党の対立から支援が滞り、ロシアの圧倒的火力の前にウクライナ軍は退却を余儀なくされていた。バイデン政権の中にはウクライナの存立が風前の灯と断ずる意見もあった。(以下は2月7日配信記事を再録)

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 2月1日、欧州連合(EU)のウクライナへの追加支援が全会一致で合意された。加盟国は2027年までの間、500億ユーロ(約8兆円)を支援する。

 EUの発表によれば、追加支援する500億ユーロのうち、330億ユーロは融資で、残り170億ユーロは凍結されたロシアの資産から生み出される可能性のある「返済不要の支援」であるほか、EUへの加盟を希望するウクライナの準備資金として使用されるという。全国紙国際部記者が解説する。

「ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから丸2年が経ちます。一時は大規模な反転攻勢で一気に情勢がウクライナ有利に変わるのでは、との希望的観測もありましたが、結局、膠着状態は続いたままで、その間にもウクライナの弾薬は枯渇する一方。 EUの推計によると、1日あたり2万発以上の砲弾を撃ち込んでいるロシアに対し、ウクライナの砲弾発射数は23年夏の反転攻撃時でも1日あたり8000発。その数も徐々に減少していて、昨年12月にウクライナ軍のタルナフスキー司令官が発表した1日当たりの砲弾の数は約2000発でした」

 しかも、同国の頼みの綱だった米政府による610億ドル(約9兆円)の支援も、米議会での承認手続きの見通しが立たず停滞したまま。そんな中、今回のEUによる追加支援は、ウクライナにとって喉から手が出るほど待ち望んでいたものだった。ただ、この支援に疑問を呈する専門家は少なくない。

「1月にNATO(北大西洋条約機構)は、ウクライナに対し数十万個単位の155ミリ砲弾を生産するという11億ユーロ(約1760億円)規模の契約を結んだと発表している。しかしNATO本部で会見したストルテンベルグ事務総長は『納品までに要する時間は24カ月~36カ月になる予定』と述べています。つまりウクライナへ砲弾が届くのは27年になってしまうということ。今回のEUの決定においても追加支援は27年までとなっており、そこまでウクライナが持ちこたえられるかが最大の問題です」(前出・記者)

 弾薬が枯渇しているウクライナとしては、明日にでも「現物」での支援が欲しいところだろう。一方で米バイデン政権の軍事支援担当者は「米議会が動かなければ、あと数週間でロシア軍が勝利する」と明言している。さらに1月25日に米ブルームバーグ通信は、プーチン大統領が昨年12月、仲介人を通して米政府当局者とウクライナ戦争の終戦に向けた対話をする用意があるかどうかを非公式で打診した、と報じた。

 当然ながらウクライナの敗北は、EU、NATO、そしてアメリカの敗北という最悪の結果を意味する。戦争はいよいよ最終局面に入ってきているようだ。

(灯倫太郎)

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