これは完全な犯罪だ!迷惑な“撮り鉄”よりも厄介な「盗り鉄」の無意識な悪事

 最近はニュースでも頻繁に取り上げられるようになった「迷惑撮り鉄」。昨年6月にはカメラを持った鉄道ファン3人が栃木県内でJR東北本線の線路内に侵入し、うち2人が鉄道営業法違反の容疑で書類送検されている。

 さらに3月29日に新型車両が登場した千葉の銚子電鉄では、警告看板の移設や運転士が視認するキロポスト(距離標)の抜き取り、草木の伐採など無断での敷地立ち入りが確認され、警察に被害届を提出。また、4月6日にはこの日から運行開始の特急やくもの新型車両を撮影しようと鳥取県内のJR伯備線の線路内に人が侵入し、一部列車に遅れが生じた。

 だが、鉄道ファンによる迷惑行為はこれだけではない。列車内や駅などにある備品を勝手に持ち帰る“盗り鉄”行為も以前から頻発。昨年12月から京都・大阪~鳥取・倉吉間を結ぶ、特急スーパーはくとの一部列車で運行されている人気アニメ「名探偵コナン」のラッピング列車の車内でイラスト入りの特製枕カバーがこれまでに30枚以上持ち去られている。

 そもそもこのラッピング列車は、作者の青山剛昌氏が鳥取出身で県が補助金を出したことで実現。そのため、鳥取県の平井伸治知事も11日の定例会見で「枕カバーは持ち帰らず、多くの人が使えるように大事に置いておいてほしい」と呼び掛けている。

「今回のケースで言うと、作品ファンの仕業である可能性が高い。座席の枕カバーはマジックテープなどで簡単に付け外しができますし、当事者にはあまり罪の意識がなかったのかもしれません。実際、人気キャラや芸能人を起用した列車中吊り広告や駅構内のポスターを持ち去りは、メディアで報じられていないだけで昔からたびたび起きています」(鉄道専門誌編集者)

 さすがにメルカリやヤフオクへの出品は確認できなかったが、これらは当然自由に持ち帰っていいものではない。れっきとした犯罪行為であり、JR西日本と同列車を共同運行する智頭急行は被害届を提出している。

「持ち帰っても大丈夫なのは、表紙に『ご自由にお持ち帰りください』などと表記された新幹線や特急の座席前ポケットに入っているフリーペーパーくらい。基本的に備品類は何も持ち帰られないとお考え下さい」(同)

 確信犯は論外だが、うっかりでもただでは済まされないことを覚えておこう。

(高島昌俊)

※写真は「特急スーパーはくと」

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