補選は、東京、島根、長崎の3つ。このうち、長崎では独自候補の擁立を見送り、東京は候補者の公募を行っているが、
「自民・船田元議員(70)が、先日行った講演で『3敗なら岸田降ろしが始まる』と言及しました。求心力の低下はすでに始まっていると言えます」(政治部記者)
実際には島根の自民党地盤は固く、全敗は現実的でないという見方もあるが、今の低支持率ではよもやの事態も想定せざるをえまい。身内の造反が予想される中、岸田総理はどう対抗するのか。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が分析する。
「常々目指してきた日朝首脳会談は破談になりましたが、5月にはフランスなど数カ国を外遊し、外交力をアピールしたい。それに夏のボーナスも上がるでしょうし、一連の動きで少しでも支持率が上がったと踏んだら、6月に解散総選挙があると思います。逆に言えば、今年9月の自民党総裁選で、岸田総理が再選するには、解散総選挙で勝つ以外に道はないのです」
仮に自公で過半数の議席を取れば、「国民の信任を得られた」として誰も文句が言えなくなる。
「安倍さんへの対抗心から、連続在職日数で安倍超えを狙っているとも噂されるが、そんな夢物語に党内はドッチラケ。29年6月まで総理を続ける計算だからな」(永田町関係者)
総裁任期を連続2期6年から3期9年に改訂したのが安倍元総理だが、もしこの低支持率のまま『岸田永久不滅政権』なんてものが実現したら‥‥。ジャーナリストの山村明義氏が憂える。
「少なくとも現時点では、再出馬が濃厚です。現職は総裁選に強い。自民党にとっての悪夢の始まりかもしれません」
果たして総理は再選を目指し、起死回生の解散総選挙に打って出るのか。それとも麻生太郎副総裁(83)ら党内のキングメーカーや、力不足と評されるポスト岸田の面々が、9月までに必死の工作を行って、次なる総理が誕生するのか。
「官邸に近い永田町の情報筋いわく、岸田総理は親しい人間でも本当に腹の内が読めない政治家だそうです。『1期3年しか総理をやるつもりがない』という意見も聞こえる一方で、独断専行で派閥解消を進めたことからもわかるとおり、追い込まれたら何をやるかわからない。ズルズルと引っ張ってきた岸田政権ですが、4月から9月にかけて、政局がかなり大きく動くとみています」(前出・鈴木哲夫氏)
「ミスター鈍感力」とも評される岸田総理は、ジリ貧でもしぶとい面を持っている。その頭で、国民をどこへ連れていこうとしているのか。
「週刊アサヒ芸能」3月14日号掲載