岸田総理は3年間の外交で何を成し遂げたのか

 11月に世界が注目する米大統領選挙が実施されるが、その前に日本では国家のリーダーが変わる。岸田政権は3年あまり続いたが、結局、最後のところは低迷する支持率が命取りになったと言えよう。ただ、国民一般からの支持率は低かったと言えるが、外交・安全保障の分野では大きな成果を残した。

 まず、近年日韓関係が冷え込む中、岸田総理は韓国との関係に重きを置き、一昨年5月に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との間で急速に日韓関係の改善に努めた。尹大統領自身も対北朝鮮で日米との関係を重視し、日韓関係の改善を強く求めるスタンスであることも大きな要因だったが、互いに東京・ソウルの訪問を繰り返す、いわゆる日韓シャトル外交を復活させた。北朝鮮に融和的な文在寅(ムン・ジェイン)政権の時、日韓関係は慰安婦や徴用工などの歴史問題で悪化し、戦後最悪と揶揄されたことから、これを改善させた成果は大きい。

 また、岸田外交3年間の中で最も衝撃だったのが、ロシアによるウクライナ侵攻だろう。岸田総理は国際秩序の安定に対する暴挙とロシアを強く非難し、欧米とともにロシアへの制裁措置を強化。日露関係は当然のように悪化していった。

 しかし、ウクライナ問題で岸田総理は自由・民主主義国家である日本の存在感を強く示した。その最たる例が、ゼレンスキー大統領の広島訪問である。昨年のサミットを主催した岸田総理は、対ロシアで自由主義陣営の結束した姿を強く示し、最終日にはゼレンスキー大統領も参加するなど、ロシアによる核の脅威に直面する国家の指導者が、唯一の被爆国である日本からメッセージを世界に発信したことは印象的だった。

 さらにこれに関連するが、岸田総理はNATO首脳会合で「今日のウクライナ問題は明日の東アジアかもしれない」と危機感を表明。国際秩序に対して現状打破的な行動を取る中国やロシアを非難し、日本とNATOの接近に尽力した。

 果たして次期総理は、岸田総理以上の成果を挙げられるだろうか。

(北島豊)

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