「男同士で争うと決めたなら…」プーチンがやたらと中東危機を煽りまくる理由とは

「アメリカは過去数年間(パレスチナ問題の)解決策を無視してすべてを独占した。男同士で争うと決めたら、子供と女性には手を出すな。これは双方に当てはまる」

 イスラム組織「ハマス」とイスラエルの衝突をめぐり女性や子供などの民間人が戦渦に巻き込まれる中、プーチン大統領は11日、モスクワで開かれた国際フォーラムの演説で、こう言ってアメリカを強烈に批判した。 

 ロシアの独立系メディアの調査によれば、この1年半のウクライナ侵略でロシア軍が殺害した民間人はおおよそ1万人。その中には600人近い子供も含まれていることが明らかになっており、どの口が言っているのかというばかりだが、今回のイスラエルVSハマス衝突以降、プーチン氏の弁舌がいつになく冴えわたっている。

 軍事アナリストが解説する。

「7日にハマスによるイスラエルへの大規模攻撃が開始された直後、すぐにロシアのメドベージェフ元大統領が『戦闘勃発は予想できたこと』として『この愚か者たち(米国はじめ西側)は、パレスチナとイスラエルの和解に取り組む代わりに、私たちに介入しネオナチを助け、隣国を紛争に追い込んでいる』とSNSに投稿。つまり、今回の大規模衝突は、中東問題をないがしろにしたまま、ウクライナ問題に集中した西側に責任があるというわけです。さらに、ラブロフ外相も9日、ハマスが使用している兵器は西側がウクライナに供給しているものが流れている、と根拠のない主張を繰り返すなど、ここぞとばかりに西側批判に熱が入っています」

 むろん、その背景には今回の中東危機を最大限に煽り、西側によるウクライナへの支援を断ち切ろうとするプーチン氏の思惑が透けて見えるが、実はロシアとハマスとの関係が深いことは周知の事実。というのも、ロシアはこれまでもアラブ側の主張を支持、イスラエルに対して、パレスチナに領土の一部を与えるよう要求してきたという経緯がある。

「昨年9月には、ハマスの指導者がモスクワを訪れ、ラブロフ外相と会談しています。なので、ハマスに武器を提供しているのは西側ではなく、むしろロシアではないのかと見る専門家は少なくない。今回のハマスの攻撃ではイランが後ろ盾になっているとの情報もありますが、イランはロシアへドローンを提供するなど、プーチン政権ともかなり近い関係にある。つまりハマスに対し、イランとロシアが直接的・間接的に支援している可能性は否定できないということです」(同)

 とはいえ、ただでさえウクライナ戦争で武器弾薬が枯渇しているロシアが、はたしてハマス支援などできるのだろうか。だが、前出の軍事アナリストによれば、

「とにかくロシアの狙いは、西側からのウクライナに対する支援を断ち切ることにある。戦争の長期化でウクライナ支援疲れが叫ばれる中、中東の状況が激化すれば米国はそちらにも金と人員を割かなければなりません。来年3月に大統領選挙を控えるプーチン氏にとっては、ウクライナでの戦況を好転させるという意味で、今回のイスラエルとハマスの衝突はむしろ好都合だったかもしれません」(同)
 
 勝利のためならなりふり構わず。またもや、西側は振り回されることになりそうだ。

(灯倫太郎)

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