亀谷 次は札幌の話を。
田端 札幌は洋芝なので、ヨーロッパで活躍した馬の産駒が走る。特にハービンジャーだね。同馬は芝2400メートルの英GⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスSをレコード勝ちした。産駒は小倉芝2000メートルも得意なんだけど、札幌芝1800メートル以上のレースで狙いたい。
亀谷 付け加えるなら、同じ洋芝でも函館と札幌では路盤やコース形態が異なり、函館はスピードに乗りづらく、札幌はスピードに乗りやすい。同産駒は不器用でスピードに乗らない馬が多いので、函館で負けた馬が札幌で巻き返すパターンが狙い目になります。
田端 そこだよね。函館と札幌の一番の違いは、コーナーの緩やかさ。
亀谷 コーナーでスピードに乗るのが札幌ですから。
田端 だから札幌では、ディープインパクト産駒もオススメ。普通、ディープ産駒の差し馬は小回りの成績が落ちるけど、札幌の成績は落ちないんだ。函館で不発に終わった差し馬が、きれいに届く例も多い。
亀谷 今年は特に函館の路盤がタフだったので、ディープ産駒にとって札幌替わりはプラスです。
田端 あとはオルフェーヴル産駒かな。今年の函館で上昇していい感じになっている3歳馬は、札幌でも好調が続くと思う。同産駒はスタミナがあるので、タフな洋芝で、あまり上がりが速くならないレースに合うと思う。
亀谷 あと、新馬戦の成績がめちゃくちゃ上がってるんですよ。オルフェーヴルは気持ちのコントロールが難しい種牡馬なので、育成のしかたによって発揮できるパフォーマンスが変わりやすいタイプです。産駒がデビューして今年で3年目。好走馬が多いのは、育成のノウハウをつかんできたからじゃないかと思うんです。
田端 基本的に晩成のステイヤー血統なんだろうね。でも1年目から走らせないといけないからマイラーの牝馬も出たけど、これから大物が出るとすれば中・長距離型かな。
亀谷 そうですね。間違いなく、大物が出てくるでしょうね。
田端到(たばた・いたる)62年生まれ。競馬ライター、コラムニスト。血統とデータ分析で「血統馬券術」というジャンルを築き、第一人者として活躍中。97年から月刊誌「サラブレ」で「金満血統王国」、スポーツ紙「日刊スポーツ」(日曜版)で「田端到の血論」を連載中。近著に「金満血統王国年鑑for 2019」(KADOKAWA)、「王様・田端到の『マジか!』の血統馬券術」(東邦出版)など。
亀谷敬正(かめたに・たかまさ)テレビ、ネットなどでカリスマ的人気の若手血統馬券師。「競馬放送局」では最終見解、勝負レースを公開。自身がプロデュースする「無料血統出馬表」(スマート出馬表)も大好評で、今回の対談収録を行った「亀谷競馬サロン」(東京都・水道橋)では、実際に亀谷氏と交流しながら予想を楽しむこともできる。「亀谷HP」http://k-beam.com/