今年キャリア9年目の藤田菜七子(26)が、現在JRAで101連敗中とスランプに陥っている。昨年の11月5日・福島12Rのアイファースキャン(1番人気)で勝って以来、勝利の女神から完全に見離されている状況だ。
負傷休養中の古川奈穂(23)を除けば、今年勝っていない女性騎手は彼女だけ。騎乗数はあるので焦りを感じているに違いない。いったい、なぜ勝てないのか。
「昨秋にはジャパンカップにも騎乗したのだから、勝ち星なしでは困るよね。今の彼女を見ていると、逃げ馬か番手の馬しか勝てないように思える。前のほうですんなり競馬を運べないといい結果を出すのは難しそうだ。女性騎手の中では唯一2キロ減なのだけど、それは言い訳にはならない。レイチェル・キングなんか男性騎手と同じ斤量で騎乗し、結果を出しているわけだから。まあ、エージェントがしっかりしていて、脈のある馬にも乗っているから近々勝てるだろうけどね」(競馬関係者)
これまでの最高成績は2019年の年間43勝。その年は俗に言う「菜七子ルール」(女性騎手への減量特典)が適用された年で、これが好成績をもたらした。しかし、その翌年の2月15日・小倉5Rのランサムトラップ騎乗時に他馬と接触して落馬、左鎖骨を骨折してしまう。さらに、その次の年の10月17日・新潟2Rのルナエルモッサに騎乗した際にも、以前と同じ左鎖骨を骨折してしまう。
この度重なる不運が、その後の低迷につながっていることは間違いないだろう。20年35勝→21年14勝→22年8勝と下がり続け、昨年こそ13勝と前年を上回ったが満足できる勝利数とは言えまい。
おまけに、21年からは毎年、女性騎手が増えていっている。そうなると、より軽い斤量で乗れる騎手に頼みたくなるのも当然だ。
しかし、これまで160勝をあげて女性騎手のトップを行く存在であることには違いない。3月にデビューする大江原比呂(19)も、中学1年のときに当時JRAで唯一の女性騎手として活躍していた藤田菜七子の姿を見て騎手を志したという。新たにデビューする後輩のためにも、いいところを見せたいものだ。
今週は、東京で5頭の馬に騎乗する予定。その中では、18日(日)7Rの4歳以上2勝クラスに出走するヨリノサファイヤが楽しみ。ここ7戦続けて騎乗し、1勝、2着1回、3着2回、着外3回の好成績をあげているからだ。
(競馬ライター・兜志郎)