傑出馬不在の混戦模様の中、主役は仏ダービー馬のエースインパクトだ。
「あのダービーでの爆発力は忘れられません。強烈な末脚の持ち主で、最右翼ですね。後方から楽に突き抜け、3馬身半差のコースレコードで完勝。上がり3ハロン34秒01は次位を1秒以上も上回る圧倒的なものでしたし、斤量58.5キロだったことも価値が高い。凱旋門賞は56・5キロですからね」(秋山氏)
一方で2400メートル未経験馬が90年のソーマレズ以降は未勝利。3歳馬の斤量が0.5キロ増となった17年以降3歳馬は1勝のみで、5年連続古馬が優勝していることもあり、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSで1、2着した古馬勢にも人気が集まりそうだ。
「勝ったフクムは昨年の欧州年度代表馬バーイードの全兄という良血です。昨年のコロネーションCでも、次走で〝キングジョージ〟を制するパイルドライヴァーを相手に強い勝ち方をみせましたし、骨折から復帰した今年の2戦とも強い内容でしたからね」(秋山氏)
この時、2着に敗れたウエストオーバーに注目するのが、増井TMだ。
「メンバーレベルが高い中、外を回りながら最後までフクムに抵抗していました。昨年の凱旋門賞は6着に敗れましたが、スタミナ勝負になれば、舞台経験がモノを言いそうです」
英国ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズで2番人気に推されているフクムだが、ロンシャンは初めて。それだけに、この2頭は日本でのオッズに注目したい。ただし、
「GⅠで好走続きのザグレイも穴党としては見逃せません。3走前のドバイシーマクラシックでイクイノックス、ウエストオーバーに続く3着と頭角を現し、次走のサンクルー大賞で2着。前走のバーデン大賞は大外から内2頭を競り落としてGI馬に輝きました。追われてからの根性のよさは強調できます」(増井TM)
もちろん、上位人気が予想される3歳馬、フィードザフレイムとコンティニュアスからも目が離せない。秋山氏は次のように分析する。
「前者は仏ダービーでエースインパクトに完敗(4着)しましたけど、前々走で凱旋門賞と同舞台のパリ大賞を制した。前走のニエル賞は2着でしたが、騎手が『本来の動きではなかった』と語っており、本調子ではなかったか、あるいは馬場が少し硬すぎたかも。次はパフォーマンスを上げる可能性があります。
後者はハーツクライ産駒で、前走(9月16日)の英セントレジャーを快勝。R・ムーア騎手が絶賛した『勝ちたいという意志と勝負根性』は、タフな凱旋門賞で重要なポイントです。ただ、同レースの勝ち馬が同年の凱旋門賞を制した例はありません。英セントレジャー組の優勝も77年のアレッジド以来途絶えているというデータは気になりますね。しかも今年はレース間隔が例年より1週間短く、中14日での出走。タイトな点も気がかりです」
海外馬券といえば、馬場コンディションも重要なポイントだ。凱旋門賞は4年連続で道悪が続いているが、
「エースインパクトは良馬場がよさそうですが、重でも勝利歴があります。フクムは稍重から重が得意レンジ。ウエストオーバーは良から稍重程度がベターに映ります。逆にフィードザフレイムは少し渋ったほうがよさそうですし、道悪ならフォワ賞を勝ったプレイスドゥカルーゼルが浮上します。昨年の凱旋門賞直後のオペラ賞で勝利したように、重い馬場は鬼のレベル。バーデン大賞2着のミスターハリウッドも要注意ですね」(秋山氏)
凱旋門賞は日本馬、3歳勢、馬場のトリコロールが馬券の肝となりそうだ。