ようやく全国的に梅雨が明け、猛暑の8月に突入。「夏競馬」も真っ盛りだ。そこで週刊アサヒ芸能連載でおなじみの若手血統馬券師・亀谷敬正氏が“血統の王様”の異名を持つ田端到氏を招き、新馬戦からローカル3場の狙い方までを語り合った。「おいしい血統馬券術」で、秋競馬の軍資金をたっぷりと蓄えよう!
─先日、亀谷さんが主宰する「亀谷競馬サロン」で、田端さんをゲストに招いて行われた「夏のローカル攻略塾」は、立ち見が出るほどの大盛況でした。
亀谷 その立ち見も抽選になったぐらいで、会場に入れない人がたくさん。これも田端さんのおかげです。
田端 いえいえ、盛況でよかった。それに函館記念でも結果を出すことができたからね。
亀谷 はい。ダンチヒ系の馬は反動が出やすいので好走と凡走を繰り返すということで「○×のダンチヒ」として推奨したマイスタイルが1着。「ローカルはラフィアンのステイゴールド産駒とロベルト系が狙い目」の言葉どおり、2着は9番人気でステイゴールド産駒のマイネルファンロン(4代前にロベルト)でした。
田端 ロベルト(ブライアンズタイムの父)を持っている馬は、間隔を詰めて使うほうが走るからね。マイネルの馬も間隔を詰めて使うから合うし、ノーザンファームは間隔を空けて使うので、あまり合わない。
亀谷 今年の福島もそうでしたが、ノーザンファームの連対率は低くて、ラフィアンは、かなり高い。このことは福島に限ったことではなくて、上がりのかかる小回りのレースなら同じことが言えます。
─それではまず、「今年の新馬戦の狙い方」からお願いします。
田端 新馬戦には「旬の血統」があるよね。毎年、おいしい血統が変わっていくけど、今年の一番は、リアルインパクトかな。
亀谷 そうですね。
田端 詳しい人は気づいていると思うけど、リアルインパクトはディープ産駒で、3歳時に安田記念を勝ったマイラー。仕上がりが早く、産駒は芝1200メートルや1400メートルの新馬戦を高確率で好走している。
亀谷 仮に今「新馬で当たる馬を教えて!」と聞かれたら、「新馬戦のリアルインパクト」と即答します。
田端 それ、わかりやすくていいね(笑)。
亀谷 もしかしたら、芝、ダートを問わず良績を残しているキンシャサノキセキ産駒の勝ち星を奪っちゃうんじゃないですかね?
田端 キンシャサほど短い距離専門かなあ。中には芝1800メートルで勝っている馬もいるし。
亀谷 そのあたりは、母系にもよるでしょうね。
田端 うん、そうだね。
─母系というのは、母父を見ればいいんですか?
亀谷 それだけではないですが、母父が中距離GⅠで見たことのある名前であれば、狙っていいと思います。
田端 それに今は短い距離の新馬戦が多いんだけど、秋になって芝1600メートルや1800メートルが増えると、また別の血統が走り始める。キズナやエピファネイアの産駒は9月頃から狙ったほうが妙味はあると思う。
亀谷 特にエピファネイア産駒は注目ですね。同馬の父シンボリクリスエスは、孫が好成績を残す傾向にあるんです。ダービー馬レイデオロもそうですし、その時の3着馬アドミラブルも母父はシンボリクリスエスです。
田端 あとはスクリーンヒーロー産駒かな。モーリス(安田記念などGⅠ6勝)やゴールドアクター(有馬記念制覇)の父で、一躍、売れっ子種牡馬になり、種付け価格が30万円から700万円に急騰した(今年は600万円)。そして交配する繁殖牝馬のレベルが格段に上がった年の産駒が、今年の2歳馬。一流マイラーや一流の中距離馬が出るのでは、とみている。
亀谷 他では、マジェスティックウォリアーはどうですか?
田端 さすがマニアックなところを突いてくるね。米国のダート馬だけど、産駒は芝でも走っている。
亀谷 芝の短い距離で強かったパイロと同じ父の系統。「パイロで儲けるのは新馬戦の芝の短い距離」だったので、同じイメージでいいと思います。
田端到(たばた・いたる)62年生まれ。競馬ライター、コラムニスト。血統とデータ分析で「血統馬券術」というジャンルを築き、第一人者として活躍中。97年から月刊誌「サラブレ」で「金満血統王国」、スポーツ紙「日刊スポーツ」(日曜版)で「田端到の血論」を連載中。近著に「金満血統王国年鑑for 2019」(KADOKAWA)、「王様・田端到の『マジか!』の血統馬券術」(東邦出版)など。
亀谷敬正(かめたに・たかまさ)テレビ、ネットなどでカリスマ的人気の若手血統馬券師。「競馬放送局」では最終見解、勝負レースを公開。自身がプロデュースする「無料血統出馬表」(スマート出馬表)も大好評で、今回の対談収録を行った「亀谷競馬サロン」(東京都・水道橋)では、実際に亀谷氏と交流しながら予想を楽しむこともできる。「亀谷HP」http://k-beam.com/