「ナンはインドの料理じゃない」インド出身の校長が日本の「無知」を一刀両断

 今年3月の第95回アカデミー賞で歌曲賞(主題歌賞)を受賞し、日本でも興行収入10億円を突破したインド映画「RRR」。本作の大ヒットでインドがより身近に感じられるようになったが、インドに関して無知な日本人が多いという。

 4月16日放送の情報トーク番組「ビートたけしのTVタックル」に出演したのは、この春から茨城の名門・土浦第一高校の校長を務める「よぎさん」ことインド出身の実業家、プラニク・ヨゲンドラ氏。番組では、ユーモアをまじえてインドの文化や経済、インドを取り巻く国際政治についてわかりやすく解説していたのだが、終盤、マジメな顔つきで「そういう意味では日本はまだインドのこと無知だと思ってます」と前置きしてこう語った。

「日本の小学校の本を見たら、インドのご飯はナンとカレーって書いてあるんですよね。ナンセンスだと思います」

 これに進行役の阿川佐和子が、「インド…ナンとカレーじゃないんですか?」と尋ねると、ヨゲンドラ氏はやや不機嫌そうに「いや、ナンはぜんぜんインドの料理じゃない。中東の料理です。それ5世紀にインドに渡っただけであって」と反論。「(カレーを)ご飯で食べるんですか?」という阿川の質問に、「ご飯とナンの…違うものがあるんです。チャパティとか」と答えたヨゲンドラ氏。「カレーはある?」という問いには、笑顔で「カレーはあります。はい。ただ作りは日本にあるカレーとは違うんだけど…」とコメントしていた。

「ナンは7000年以上前から食べられていたペルシャ料理で、現在のイランが発祥の地と言われています。ナンの原料は精製された小麦粉で、高級食材の部類に入るそう。おまけに大きなタンドール窯を必要とするため、一般家庭では食べる習慣がないそうです。実際、日本に来て初めてナンを食べるインド出身者も多いと聞きます。一方、チャパティは比較的安価な全粒粉を原料として、フライパンで簡単に作ることができるため、インドの家庭ではカレーとチャパティの組み合わせがもっともポピュラー。インド出身で日本の教育者である“よぎさん”が言うように、日本では教科書に『ナンとカレー』と書かれ、街でインドカレーの看板を掲げる店では当たり前のようにナンが提供されている状況はナンセンスと言ってもいいかもしれません」(フードジャーナリスト)

 日本とインド、国民レベルで双方の文化を理解し合うことが日印関係に必要かもしれない。

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