世界中で愛され、インドを代表するカレーのひとつ「バターチキンカレー」を巡って、元祖を主張する2店が法定で争うこととなった。どちらがバターチキンカレーの元祖を名乗れるようになるのか注目が集まるが、実は日本でも様々な料理店が元祖を巡って法廷闘争に発展している。
「裁判を起こしたのはニューデリーの老舗料理店『モティマハル』で、バターチキンカレーは1930年代に創業者のクンダン・ラル・グジュラル氏がタンドールで焼いた鶏肉を使って考案したと主張しています。一方、訴えられたのは同じくニューデリーに店を構える『ダリヤガンジ』で、2019年オープンと比較的新しい店ですが、オーナーの祖父であるクンダン・ラル・ジャギ氏がグジュラル氏と一緒に働いていた時にふたりでバターチキンを考案したと主張。18年にはバターチキンカレーの商標の申請も行っているのです」(社会部記者)
モティマハル側はダリヤガンジに対して約3500万円の損害賠償と、バターチキン発祥の店として認めることも求めている。5月に次回の審理が開かれるというが、決着するまでには何年もかかるのではないかと指摘する専門家もいる。こうした料理店の元祖を争う闘争は決して珍しくなく、日本でも様々な裁判が起きている。
「日本では、『餃子の王将』が暖簾分けした『大阪王将』を相手取り、商標の使用を巡って裁判となり、1985年に一部店舗で使用していた『餃子の王将』の店名を『大阪王将』に変更させたことは有名な話ですね。また、福岡のラーメン店で同じ店名を持つ『元祖ラーメン長浜家』の一方が屋号の使用差し止めを求めて民事訴訟を起こしましたが、請求は棄却されています。他にも八ツ橋を巡って『井筒八ッ橋本舗』と『聖護院八ッ橋総本店』が争ったりと、元祖バトルが繰り広げられているのです」(フリージャーナリスト)
果たして、バターチキンカレーの元祖はどちらになるのか…。
(小林洋三)