4月15日、応援演説のため和歌山市の雑賀崎漁港を訪れていた岸田文雄首相に向け、男が筒状の爆発物を投げつける事件は日本中を騒然とさせた。現職の総理が狙われたということで、翌16日朝の報道番組は各局このニュース一色に。中でも東山紀之が司会を務める「サンデーLIVE!!」(テレビ朝日系)では犯人が使用した爆発物についてかなり詳細に報じており、一部の視聴者から批判を集めてしまった。
岸田首相を狙ったのは兵庫県川西市に住む木村隆二容疑者(24)。番組では事件の概要の他に、木村容疑者の人物像や事件後の岸田首相の動向などを詳しく紹介。その他に、投げ込まれた爆発物について、銃器研究家の高倉総一郎氏を取材し、VTRの中で高倉氏が解説を行うという一幕があった。
高倉氏は今回使用された爆発物について、金属の筒を使った手製の“パイプ爆弾”であると明かし、使用されたパイプにそっくりの筒を手にしながらこう解説する。
「まず片側のキャップは閉めて、その中に手製の黒色火薬を詰めます。後は、今回の場合ですと恐らく電池ですね。バッテリーを使って、そこから配線を回して、逆側もキャップを閉めます。これでスイッチを入れて投げる。ここから、自身が設定した時間ですね…」
解説はこれだけに終わらず、起爆の時間設定についてや、さらに被害を広げようとした場合のより強力な爆弾作成方法なども紹介された。こうした詳細すぎる取材VTRが流れたことに、視聴者からは《テレビでこれ流しちゃダメだろ》《簡単な作り方や材料まで丁寧に紹介して、模倣犯出したいような雰囲気にすら思えた》《なんでこの番組パイプ爆弾の作り方説明してんの?被害強くする方法とか言ってたけど大丈夫?》《ここまで視聴者にレクチャーするなんて異常。『次こそ成功させろ』というニュアンスにしか見えないレベル》など、SNS上に多数の批判コメントが寄せられた。
今回の事件に関して、昨年7月に起きた安倍元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告を英雄視するようなSNS投稿や、一部メディアの煽りが犯行に影響したという見方もされている中で、更なる模倣犯が現れないとも限らない。爆発物の作り方を放送する必要はあったのだろうか。
(浜野ふみ)