日本株好調の裏に「投資の神様」と植田日銀新総の「見せ球効果」

 4月9日から植田和男日銀新総裁がスタートしてから、日本の株価が好調だ。

「植田新総裁は10日月曜日の夜に初の会見を行いましたが、そこで語られたのが、長期金利操作イールドカーブ・コントロール(YCC)と黒田総裁がとってきた『大胆な金融政策』の維持でした。つまりは当面は現状維持というわけで、早期の金融引き締めが遠のいたことで、円安ドル高で日本の輸出が伸びるとして国内株が賑わいました」(経済ジャーナリスト)

 結果、10日の日経平均は115円高の2万7633円だった。

 ただ市場では疑心暗鬼が去ったわけではない。4月末に行われる日銀の金融政策決定会合の結果次第では、YCC修正の可能性が無いわけではなく、10日の会見はそれを勘ぐらせないための「見せ球」と考え、しばらくはその動きに注視との声もある。

 だがそれでも11日に、日経平均は続伸した。そこには「あの人」の登場もあった。

「11日の午前11時に日経新聞の電子版で、世界的投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株への追加投資を行う用意があると語ったと報道されたのです。前日と同じ空気感があって投資家が強気になっているところに、追い風が吹いたようなもの。11日は前日比289円高の2万7923円で引けました。さらに12日は159円高の2万8082円と、11日にバフェット報道がありながらも重かった2万8000円台をつけました」(同)

 バフェットは彼が率いる投資会社のバークシャ・ハサウェイを通じて、20年8月に日本の5大商社の5%以上の株式を保有した。この時は9.9%まで買い伸ばす可能性があるとして、事実、22年秋には保有比率を6%台まで引き上げていた。

 だから11日は5大商社株が一斉に値上がりしたのだが、インタビューでは商社以外の銘柄も買う可能性が示唆されていて、バークシャーは投資と保険以外にサービス・小売り、製造業、公益・エネルギー、鉄道部門があるので、「この中でインフレ時に投資に向いているのはどこか」といった思惑が投資家の間に広がっている。

 御年92歳「投資の神様」の見通しはどうか。

(猫間滋)

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