マクロンが習近平に骨抜きにされた!「台湾に加勢しても利益はない」に非難轟轟

「自由・人権・博愛」を掲げてきたフランスのマクロン大統領が、中国との貿易拡大を引き換えに、習近平国家主席に骨抜きにされたとして、同盟国から大ブーイングが起こっている。

 コトの起こりは9日、習近平氏と2日間にわたる会談を終え、帰国の途につく大統領専用機内で仏経済紙「レゼコー」などが行ったインタビューに答えたマクロン氏が、「台湾の問題に加勢して、欧州に利益はあるのか。ノーだ」と断言。さらに「我々欧州人がこの主題(台湾)の追従者にならず、米国の議題や中国の過敏反応に左右されてはならない」として、「戦略的自立とは、中国との関係などで欧州として戦略を持つことだ」と、中国寄りの発言を連発したから大変。

「この発言を受け、当然同盟国からは批判の声が噴出。米国のマルコ・ルビオ上院議員はツイッターで『マクロンが欧州全体の立場を代弁しているのか。欧州が台湾問題で米中の間でどちらにもつかないというのなら、米国もそうする。あなた方が欧州でウクライナ問題を処理したらよい』と不快感あらわな投稿をアップ。ドイツのノルベルト・レットゲン下院議員も『マクロンの今回の訪中は中国にとって完ぺきな勝利、欧州には外交的災難』と皮肉り、欧州議会中国政策代表団のラインハルト・ビュティコファー議長も『欧州の戦略的自律性に関するマクロンの構想は現実を越えた夢想だ』と痛烈に批判しています」(全国紙記者)

 マクロン氏は今月4〜8日まで中国を国賓訪問していたが、中国側は同氏を閲兵式・レッドカーペットで歓迎。マクロン氏は今回の訪中にエアバス、アルストム、LVMHなど自国の主要企業のCEOや政府高官、文化・芸術関係者など60人以上を帯同。習氏はマクロン氏を北京での首脳会談の後、公式夕食会に誘い、翌日の広州市での会談の後にも、マクロン氏を非公式の夕食会に招待している。

「習氏が首都・北京以外でこのような歓待をすることは、かなり異例なこと。むろん、今回のマクロン氏への特別厚遇は、米欧、欧州の連携にもくさびを打ち込む狙いがあることは言うまでもない。さらに習氏は“手土産”として、フランスの航空会社・エアバスの新規工場を中国天津に作ることを約束。エアバス航空機160機の販売契約も承認したことで、マクロン氏はすっかり骨抜きにされてしまった。これまで、やれ人権だ、チベットだ、ウイグルだと声高に批判してきた同氏の掌返しに、同盟国首脳たちも開いた口が塞がらないといったところでしょうね」(同)

 EU内では台湾有事があった場合には、中国に対し厳しく対応するというコンセンサスがあった。しかし、今回の「台湾有事は我々とは関係ない」とのスタンスを明らかにしたマクロン発言により、アメリカの、特に保守派は大激怒。米仏に大きな亀裂が生まれ、今後フランスがEU内で孤立する可能性も出てきた。

 11日には、訪問先のオランダでの演説で「暴力と偽善の大統領」と書かれた横断幕が掲げられ、参加者からの抗議のヤジで演説の中断を余儀なくされたマクロン氏。今回の「米国に追随しない」発言で、G7広島サミットの議長である岸田首相も、難しい運営を余儀なくされそうだ。

(灯倫太郎)

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