この学校は、中国大使館に依頼され、選抜された優秀な中国人を受け入れて日本のトップレベルの大学に留学生として送り込んでいる語学学校だという。
確認できる直近の資料(20年度)によると、東大に14名、東工大に20名、早大に43名が留学している。加えて、北大や東北大、一橋大、名古屋大、京大、大阪大、九大、さらに筑波大や慶大といった大学でもかなりの実績を出していた。ここ10年ほどだけでも、大学院も含めて数千人もの中国人留学生を送り込んでいるのだ。
「米国は中国政府の選抜がある以上、学生はすでに工作員か、あるいはその養成課程にいるかで、いずれによせ日本の最高学府からの最先端技術などが中国の手に渡る可能性が高いと警戒しているが、大学院などを出たあとの進路についても注視している」(公安関係者)
卒業後の進路についても調べてみると、日経新聞、野村総研、楽天、JCB、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、三菱重工、三井化学、旭化成、NTTデータ、東芝、パナソニック、富士通、ソニー、セガ、本田技研工業など日本を代表する企業名が確認された。
公安関係者によると「米国は同校卒業生を潜入工作員と見ており、問題視している」という。
「中国大使館の意を受けた同校は、学校に在籍している時点で学習だけでなく、生活面でも、きめ細やかな支援を行っている。住まいやアルバイトなどの相談に乗り、時には斡旋もしており、そうしたことを通じて学生の関心事や嗜好を把握した上、それらをベースに巧妙に個人的な友好関係を作るなどして徐々に工作員へと導くよう動いている。その最たる例が就職だ」(公安関係者)
米国は、語学学校グループを「潜入工作員養成機関と認定している」とも言われるが、これらの指摘について、同校に取材を申し込んだところ、「担当者不在」を理由に答えることはなかった。
さて、問題の日本人男性だが、留学生の住居やアルバイトの斡旋などの面で語学学校に協力しているというのだ。
「工作員養成機関のメンバーということになる」
公安関係者は、そう語った上で、この日本人男性がBに住居を提供していた時期があると明かしたのである。そこで、屋那覇島の購入の意図や中国人女性エージェントとの関係も含めて、Bに対してメールで取材を申し込んだが、期日までに返答は得られなかった。とはいえ「住民票などから確認は取れている」と前出・公安関係者は話した上で、屋那覇島買収をこう断じた。
「つまり、真っ黒だ。島のことも、観光ビジネスなどとみて安閑としている場合ではない」
政府は、今回の件について「動向を注視する」としたものの、松野博一官房長官は2月13日午前の会見で、同島での土地取引が、国境近くにある離島や米軍、自衛隊基地周辺などの土地取引を規制する土地利用規制法の対象にはならないとの見解を示す形で、実質的に放置することとした。本当にそれで大丈夫なのだろうか‥‥。
時任兼作(ジャーナリスト)
*週刊アサヒ芸能4月20日号掲載