3月30日、新球場・エスコンフィールドHOKKAIDOでの開幕戦を白星で飾ることができなかった日本ハム。試合後、新庄剛志監督は机に突っ伏すなど、現役時代にも見せなかったような激しい様子で悔しがっていた。
だが、球団や地元行政、近隣住民たちは「別の問題」で地団太を踏んでいたようだ。
「違法駐車です。3月14日に新球場で初めて試合(オープン戦)が行われ、この問題が浮き彫りになりました。すぐに対策を講じなければと手は尽くしてきたんですが…」(地元関係者)
30日の試合開始(午後6時半)の3、4時間前。新球場と道路をはさんだ区域にある住宅街には、複数の警備員が右往左往していた。違法駐車を取り締まるため、目を光らせていたのだ。
また、周辺には大型ディスカウント店も多いこともあり、一部の心ない野球観戦者が店舗の駐車場を「無断使用」するといったケースも起きており、オープン戦時から球団や地元行政に苦情が寄せられていたという。
「近くにある学校の駐車場に勝手に停める者も続出しましたね。職員のクルマと違法駐車を見分けるため、学校独自で駐車証を作ったりしていました」(前出・地元関係者)
新球場の敷地内には約4000台分の駐車場スペースがあるのだが、試合のある日は予約制で、平日と休日など、日によって1500〜3000円と料金が変わる。この料金設定も違法駐車の引き金となったようだ。住宅街を巡回していた警備員に聞くと、「詳しいことは球団に」としながらも、
「公園の駐車場に勝手に停められたら、こちらは注意できないんです。行政に連絡して(対応してもらうしかない)」
一方、車を使わない観戦客にとっても大きな問題があるようだ。ファンの1人が嘆息しながら語る。
「新札幌駅からシャトルバスが出ているんですが(400円)、車内では現金で支払いが出来ません。少し離れたところにある乗車券の券売機に並ぶか、『VISAタッチ』によるタッチ決済しかできません」
北広島駅からのシャトルバスは現金払い(200円)が可能だが、筆者が面倒だと思ったのは、新札幌駅発、北広島駅発の双方のシャトルバスで交通機関系ICが使えなかったこと。こちらもスタッフが支払いに関する説明をしてまわっていたが、搭乗の際には混乱を招いていた。開幕戦後も3万人以上の観客が押し寄せ、シャトルバスに乗るまで40分以上もかかるなど、大混雑してしまった。
日ハムは開幕2戦目には清宮幸太郎によるサヨナラ打で今季初白星をあげている。違法駐車やシャトルバスの乗車などの問題を早々に解決させ、シーズンを気持ちよく疾走することを、ファンも関係者も望んでいるはずだ。
(飯山満/スポーツライター)