新庄監督の逆鱗に触れ戦力外→オリックスへ「新庄劇場・番外編」

 日本ハムの新入団選手が新球場・エスコンフィールド北海道を見学した翌日の11月28日、パ・リーグ覇者のオリックスが、前日本ハム・上野響平内野手と育成契約を交わした。

 上野はフェニックスリーグ参加中の10月23日に戦力外を通告された。

「若手育成のフェニックスリーグへの参加は、来季の戦力として認められたことを意味します。同リーグ開催中であったのはもちろん、選手が滞在するホテルで戦力外を通達されたのも驚きでした」(スポーツ紙記者)

「異例の通達劇」となった理由は、前日の新庄剛志監督の視察にある。一塁までの全力疾走を怠った選手、自身の注意不足による失敗を犯した選手に激怒し、その1人が上野だったのだ。

「日本ハム側が後日、育成契約を上野に持ち掛けたとの情報もありました。その通りだとすれば、上野は日ハムでの巻き返すことよりも、心機一転、オリックスでやり直すほうを選んだことになります」(球界関係者)

 その選択には“年上の後輩”上川畑大悟(25)の存在もあったという。

 上野は高卒3年目だが、守備力の高さには定評があり、今年4月26日、スタメンショートのチャンスをもらった。

「守備範囲の広さ、肩の強さ、捕球してから送球するまでの早さなど、守備でスタンドを沸かせていました」(前出・スポーツ紙記者)

 しかし、長くは続かなかった。課題の打撃力不足を克服できなかったためで、故障で出遅れていたルーキーの上川畑も一軍に合流。こちらはバットで結果を出し、正遊撃手としてファンに認知されるようになった。

「オリックスのショートには、同じく高卒3年目の紅林弘太郎がいます」(前出・スポーツ紙記)

 こちらも、攻走守の3拍子が揃った好内野手だ。また、クリーンアップを任されるなど、打線の中軸候補でもある。
 
「上野がスタメン起用され、高い守備力を発揮したのは、オリックス戦なんです。オリックスも上野の守備センスを認めているのは間違いありません」(前出・同)

 来季、新庄監督は「優勝を狙う」と公言している。勝利に執着した采配も興味深いが、その構想から漏れた上野が支配下契約を勝ち取れば、“新庄劇場・番外編”として注目を集めそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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