ベテランが張り切っている理由は、復活にかける思いだけではなかった? 巨人キャンプの話である。
「松田宣浩の加入、長野久義の復帰も刺激になっていると思います。中島宏之が寡黙にバットを振り続けています」(現地記者)
注目のベテランはほかにもいる。昨季、ケガによる登録抹消で振るわなかった坂本勇人や菅野智之、そしてライトへのコンバートに挑む丸佳浩の3人だ。
坂本、丸の調整は順調だという。しかし、この2人には“共通点”があった。今季が長期契約の最終年なのだ。
「菅野の契約に関しては分からない部分もあります。2020年オフにMLBに挑戦しようとしましたが、条件が合わず、巨人に残留しました。その際、21年シーズンから『4年』を提示されたものの、菅野自身は『単年でサインした』とコメントしています。複数年で、MLBに再挑戦できる条項が入っていると言う関係者もいますが」(ベテラン記者)
「単年コメント」が本当なら、復調のあかつきには”大幅アップ提示”となるだろう。
坂本が「年俸6億円で5年」、丸は「4億5000万円で5年」。ともに18−19年オフに複数年契約を交わしている。「坂本、丸が他球団に移籍するなどありえない」というのが大方の見方だが、坂本は今年35歳、丸も34歳になる。菅野も34歳の年なので、彼ら3人に「長期」「高額」の条件を提示するのは考えにくい。
「いや、減額提示はもっと考えにくいですよ。複数年契約はともかく、彼らのこれまでのチーム貢献度、プライドを満たすだけの金額を提示しなければなりません」(同前)
また、松田の推定年俸は1億5000万円とされているが、「復活」となれば、今季40歳とはいえ、昇給での契約更改は必至だ。
23年の巨人のチーム総年俸額は40億円強と言われている。前年比では4億円ほど減っているが、3年ぶりの優勝、悲願の日本一達成なら、チーム全体での昇給ともなるだろう。となれば、「坂本6億円、菅野6億円、丸4億5000万円」から、成績次第では3人合わせて103歳、20億円到達もありうるだろう。
海の向こうのMLBでは36歳のダルビッシュ有が減額を受け入れてパドレスと「6年」の長期契約を結び直したことで話題になっている。ちょっと早いが、巨人キャンプのベテランたちのヤル気は「波乱のオフ」の前兆かもしれない。
(飯山満/スポーツライター)