阿部慎之助監督が率いる巨人が、依然として「4番の不在」に悩まされている。
5月27日に富山で行われた広島戦では、4番に座ったキャベッジが4回2死二塁の場面で中前適時打を放ったものの、その直後にベンチへ自ら交代を申し出た。右足甲への自打球が原因で、「一塁へ走る途中で無理だと感じて交代を申し出た」と本人は説明している。
試合後、キャベッジは足を引きずる様子は見られず、「次の試合も出るつもりでいる」と前向きな姿勢を見せた。一方で、岡本和真の離脱以降、巨人打線は「実質的に4番が不在」との指摘が相次いでおり、セ・リーグの他球団スコアラーも「今の巨人打線には怖さがない。どの球団もそう見ている」と断言する。
キャベッジの代わりに出場した若林楽人も8回に死球を受け、ベンチに下がった。阿部監督は「2人とも大丈夫だと思う」とコメントしたが、主力を欠いたやりくりの連続に現場の疲労も蓄積しつつある。
特に、昨年阿部監督が「開幕前にレギュラーと呼べるのは坂本勇人(三塁)、岡本(一塁)、門脇誠(遊撃)の3人だけ」と語っていたが、その3人すら今季は一軍に不在の状況。戦力のやりくりは続くが、「起用法に一貫性がない」「岡本に過度な負担をかけていた」など、OBや現場からは采配への疑問の声も上がっている。
混戦が続く今季のセ・リーグにおいて、巨人がこのままズルズルと“ガス欠”に陥るのか、阿部采配が真価を問われる局面は、ますます迫っている。
(小田龍司)