巨人の春季キャンプが始まった。早朝7時スタートの「アーリーワーク」は「1人1000スイング」。このノルマは首脳陣の予告通り、2月1日のキャンプ初日から実行された。
「6時45分に宿舎ホテル前に停められていた移動バスに選手たちが乗り込み、室内練習場へと移動していきました」(現地記者)
初日ということでスイング数は「700〜800」に減らされたものの、選手たちは気が抜けなかった。原辰徳監督が室内練習場にやってきたからだ。
「アーリーワークは大久保博元コーチに任せている感じでした。ただ、原監督はゆっくりと室内を見て歩いていたので、選手は休むことができませんでしたね」(前出・現地記者)
さらに、目安のスイング数を終えた選手はマシン相手にバント、セーフティーバント、バスターなど15項目のルーティーンもこなさなければならない。しかも、15項目の1番から15番までをこなす途中で失敗してしまうと、最初からやり直し。首脳陣からは「このルーティーン、シーズン中も継続しようか」という声も出ており、選手たちからは「本当ですか」との悲鳴もあがっているらしい。
ところが、アーリーワークは野手陣だけのノルマではなかった。
「投手陣もアーリーワークをやっていました。それも自主的に。先発陣は菅野智之を中心に送りバントの練習をし、リリーバーの高梨雄平、鍵谷陽平、大勢らはウエイトトレーニングをやっています。同時間帯に別の室内練習場に集まっていましたね」(球団関係者)
アーリーワークは大久保コーチが西武、楽天で指導していたころに導入されたもので、それがチーム力の底上げにもつながった。巨人でも同様の効果が期待されているが、原監督の狙いはそれだけではなかった。
「去年、クライマックスシリーズ進出ができないと決まったときが特にそうだったのですが、選手が負けても悔しそうな顔をしていない、と。それが原監督にはショックだったようです」(前出・球団関係者)
「悔しい」という感情が自然に湧き起こってくるためには「こんなに練習したのに」と思わせるしかない。だから、練習量を増やし、選手たちに自信を持たせる。そして、「こんなに練習したんだから、負けるはずがない」と思わせる。そのためのアーリーワーク導入だった。
二軍でも同時間にアーリーワークが行われている。投手陣も自主的に始めており、それなりの効果はあるようだ。もっとも、ペナントレース開幕前に「ガス欠」にならないか心配だが。
(飯山満/スポーツライター)