日本ハム新球場「規則違反」でもGOサイン、完成直前に叩かれたのはNPBの慣例だった?

 日本ハムの新本拠地「エスコンフィールド北海道」の一部ファウルゾーンが公認野球規則を満たしていない問題。2023年は現状のままで公式戦を迎えることになった。来年オフに改修工事を行うことが確認されたからだ。

 日本ハムの「自前球場」が検討されるようになったのは2016年。18年末には大まかな球場設計図も公開している。だからだろう。「バックネット裏が規定の60フィートに届かなかったことに誰も気づかなかったのか?」という疑問の声は尽きない。

 しかし、こんな話をする球界関係者もいた。「マツダスタジアムも、詰めの段階で苦労したんだから」と——。

「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム」の建設工事が始まったのは2007年11月。09年3月に完成したが、その直前、「他球団との調整」に難航したそうだ。

「球場建設のときには、他球団とも意見調整しなければならないんです。NPBとは設計段階から綿密な打ち合わせを重ねますが、他球団のスタッフや監督さんにも実際に球場を見てもらうのです」(当時を知る関係者)

「他球団との調整」はNPBの“慣例”だが、必ずクリアしなければならない“必須事項”でもあるという。本拠地移転、大型改修を行う際もその調整は必要で、マツダスタジアムが躓きかけたのは「ベンチとスタンドの距離」。

「ベンチとスタンドが近い。観客にベンチ内の会話が聞こえそう。録音でもされたら…」

 クレームが入ったとき、マツダスタジアムはほぼ完成状態だったが、一部に仕切りの壁を設け、何とか予定通りに竣工式を迎えることができたという。

 要するに、新球場が完成直前でモメるのは、NPBでは珍しいことではないようだ。「だから日本ハムも乗り切ってほしい」とエールを送る球界関係者も多い。

「パ・リーグの他の本拠地球場と比べてみてくださいよ。京セラ、PayPay、楽天、ベルーナ、ZOZOマリン、みんなバックネット裏は18メートル台です。エスコンフィールドだけ15メートル台になるのは、パ・リーグのチームとしては違和感があります」(球界関係者)

 他球団との調整を行うのは、この違和感をなくすためでもあるようだ。

 もっとも、臨場感を楽しめるエスコンフィールドへの期待は高く、オープンを楽しみにしているファンは多い。出る杭は打たれるということか? 

(スポーツライター・飯山満)

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