「前例のない頻度で挑発行為を行っている。日本・韓国を含む地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だ」
3日、北朝鮮による2日連続のミサイル発射に対し、日米韓の外務高官が緊急電話協議して声明を発表。尋常ならざる危険挑発行為に対し強く非難した。
韓国軍によると、午前7時40分ごろ平壌郊外の順安(スナン)付近から長距離弾道ミサイルを、さらに同8時39分ごろ平安南道の价川(ケチョン)付近から短距離弾道ミサイル2発を、それぞれ日本海に向け発射したもようだ。
日本政府はこれを受け、宮城、山形、新潟の3県に「Jアラート(全国瞬時警報システム)」を発出、住民に警戒を呼びかけた。1発目は新型のICBM「火星17」型で、分離に失敗したとみられている。
「今回の北朝鮮によるミサイル発射は、10月31日から行われていた韓国空軍と在韓米空軍による合同空軍訓練への抗議。『ビジラント・ストーム』と名付けられたこの大規模演習には、F-35AとF-35Bを含む韓米合わせて240機の空軍機が参加しています。北は、合同訓練を名指して批判しており、『訓練を中止しなければ、核兵器を使用して米国と韓国に、歴史上最も恐ろしい代償を払わせる』と警告していましたからね。最初のミサイルが発射されたのはその数時間後でした」(全国紙記者)
北朝鮮の乱発ともいえる挑発行為を受け、韓国空軍は4日に終了予定だった軍事演習を延長することで米国と合意したと発表。一方で北朝鮮の7回目の核実験も懸念されており、朝鮮半島の緊迫の度合いはかつてないほど高まっている。
「一連のミサイル発射実験を北朝鮮は『韓国への核攻撃のシミュレーション』と位置付けており、韓国側が対抗措置をとるたびにどんどんエスカレートしています。これは、中国共産党大会が終了し、習近平国家主席の3期目が確定したことで、反米を掲げる金正恩総書記にとっても、習主席率いる中国共産党という後ろ盾が出来たという自信の表れでもあるのでしょう。北朝鮮は9月に核兵器の『先制使用』を定める法律を整備しており、今回のミサイル発射も戦術核使用を想定したものにほかならない。つまり、仮に南北で軍事衝突が起きれば、通常戦力ではとうてい米韓の足元にも及ばない北朝鮮が、核弾頭をミサイルに載せ発射させるというシナリオも排除できないといことです」(同)
挑発行為を続ける北朝鮮。「歴史上最も恐ろしい代償」が現実化しないよう強く願う。
(灯倫太郎)