厚生労働省は14日、政府の自死対策の指針となる「総合対策大網」を新たに決定した事を発表した。コロナ禍の影響などにより女性の自死者が増加する現状を受け、女性に対する支援強化が初めて重点施策に盛り込まれたことが注目されている。
女性に対する支援の具体的な内容は、予期せぬ妊娠等で悩みを抱える若年妊産婦への支援推進や、子育て中の女性を対象とした就職支援、DV被害者への支援充実などがあげられる。自死者は減少傾向にあるものの、毎年2万人を超える水準で推移している事態の改善に、新たなアプローチが期待されているのだが、一部では批判の声が飛んでしまっている。
同日、厚労省は公式Twitterでも「政府は本日、#自死対策 の指針として新たな総合対策大綱を閣議決定しました。新たな大綱により、誰も自死に追い込まれることのない社会の実現を目指します。子ども、若者、女性への対策や地域自死対策の強化など、総合的な対策をより一層推進していきます」と、新たな「自死総合対策大網」の決定を発表したのだが、このツイートには700件近くものリプライが寄せられた。
多数のリプライの中には《子ども、若者、女性への対策って、中高年、男性はほったらかしですか?》《女性より男性のほうが全然多いのになぜ男性は無視するわけ?》《わざわざ「子ども、若者、女性」と強調しなくても良いでしょ》《おっさんの自死はどうでもいいのか》と、支援強化の対象にあげられなかった層への配慮を欠くという指摘が相次いで見受けられる。
「自死者数のボリュームゾーンは40代〜60代男性というデータがあるにも関わらず、女性や子どもに特化した対策強化を行うという発表に違和感を覚えてしまった人が多いようです。厚労省のツイートには《誰も自死に追い込まれることのない社会の実現》とあり、もちろん今までも年齢や性別関係なく、相談者へのケアや支援は行われています。コロナ禍で女性にまつわる家庭問題や経済問題が顕在化したため、こうして名目にあがっただけのことなのですが…」(情報誌ライター)
年令や性別に関係なく、悩みを抱えている人への支援が行き届く社会になってほしいのはもちろんだが、これだけの内容のツイートに、躍起になってブーイングがあがってしまうというのは、それだけ助けを求めている人が多いという証拠かもしれない。
(浜野ふみ)