「中高年のコロナ鬱」完全予防マニュアル【2】緩い生き方で「80歳の壁」越え

 では「コロナ鬱」のサインとして本人や周囲の人が注意すべき点は何か。詳細は、ページ下部の「鬱病チェックシート」で確認してほしいが、和田氏は鬱病の「早期発見・早期治療の有効性」を強調する。

「鬱には前兆があり、放置しておくと進行していきます。一方で、前兆の時に気づければ、早期回復につながります。

 鬱病の前兆と見られる症状を別項で示しておきましたが、当てはまる項目が複数ある場合は、すでに鬱病が始まっているかもしれません。

 鬱病になった人たちがよく訴えるのは、『異様にだるい』という症状です。熱を測ると平熱なのにもかかわらず、39度あるくらいのだるさが、来る日も来る日も続くというのです。

 そんなつらい状態ですから誰かに助けを求めることができればいいのですが、それができないタイプの人が鬱病になります。

 鬱病になりやすいタイプの人は概ね忍耐強いので、苦しくても助けを求めようとしません。周りに人一倍気を遣うため、『家族に心配をかけてはいけない』と思って、誰にも相談しないことが少なくありません。問題を一人で解決しようとするため、鬱病が重症化しやすく、そこから抜けられなくなってしまいます。

 前述したように、鬱病は脳内の神経伝達物質が関係していると見られる病気なので、ある程度重くなってしまうと、自分の力だけで解決するのはまず無理です。気の持ちようで何とかなるものでもなく、また、時間が解決するといった自然治癒はあまり期待できません。早めに医療機関で受診することが必要です」

 和田氏は、著書「80歳の壁」の中で、日本人男性の健康寿命が72〜75歳にとどまっている点に着目し、寿命を延ばすために何をすればいいのかを述べている。同書は発売直後から版を重ね、現在まで20万部を超えるベストセラーとなっている。

「高齢になると、鬱状態が多くなるのは事実です。年齢が上がれば神経伝達物質の分泌も減っていくわけですから。特に、80代と70代とではまるで違います。それまで真面目に生きてきて人生がうまくいっていた人でも、80歳を超えてくると、仕事がなくなったり体調が悪くなったりで、そうはいかなくなってくる。こういった〝80歳の壁〟を乗り越えるためにも、50〜60代のうちに〝緩い生き方〟を覚えていた方がいいと思います。

 私がよく例に挙げるのが、タレントの高田純次さん(75)。『ミスター無責任』とか『テキトー男』と呼ばれる人です。『適当』を悪い意味で捉える人もいますが、そんなことはありません。辞書には『ほどよいこと。条件や目的にうまく当てはめること』と書かれています。これって素晴らしいことだと思いませんか。『適当な人』とは、しなやかで、うまい生き方ができる人なのです。そうやって日々気楽に一日を過ごしていくことが、〝80歳の壁〟の乗り越え方なのかもしれません」

 とかく健康寿命を延ばすためには、運動や食生活に目が向きがちだが、メンタルヘルスも中高年には欠かせない必須条件と言えよう。コロナを乗り越え、健康寿命を延ばすためにも今一度、自分のコンディションをチェックしてみたらいかがだろうか?

《鬱病チェックシート》

<前兆編>

□疲れが取れない

□やる気が起きない

□不安が続く

□イライラする

□物事を決められない

□集中できない

□性欲がなくなった

□寝ても寝た気がしない

<初期・中期>

□ふらふらする

□将来のことが不安になる

□眠れない

□朝早く目覚めてしまう

□眠りすぎてしまう

□体重が減る(もしくは増える)

□便秘になる

□頭が痛い

□頭が回らない

□動悸がする

□体が鉛のように重い

□急に多弁になる

□そわそわして、いてもたってもいられない

□クヨクヨする

□物忘れが増える

<重症化している場合>

□動きが緩慢になる

□孤独を感じる

□常識を外れたレベルの悲観的なことを考える

□引きこもって外出しない

□何をしてもむなしい

□生きる希望がないと思う

□死について考える

★複数の該当項目がある場合は「鬱病」の可能性あり

*「週刊アサヒ芸能」6月9日号より

ライフ