「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
名将・野村克也監督の名言だ。
10月14日、神宮球場で行われた対阪神戦でヤクルトが6対3で勝利。ファイナルステージを制し、2年連続で日本シリーズ進出を決めた。ヤクルトが3点ビハインドで迎えた7回裏の攻撃は、まさしく「不思議の勝ち」に見えた。
2死満塁でヤクルト・山崎の一ゴロを、阪神のマルテがセカンドへの悪送球。2点を返し、なおも2死満塁として迎えたバッターは4番・村上宗隆。ヤクルトファンが逆転のホームランを期待する中、打球はボテボテのゴロ。万事休すかと思いきや、ピッチャーの浜地真澄が捕球し、ファーストへグラブトスした球は大きく逸れ、思わぬ走者一掃の逆転劇となった。
見逃せないのは、このとき一塁にヘッドスライディングした三冠王・村上の激走だ。この主砲の気迫、勝利への執念が阪神を上回っていたのではないか。
「髪の毛ボサボサなんだけど、疲れましたね。でも、もう明日の休みのこと考えて打席に立ってました」
翌15日、ヤクルトのYouTubeチャンネル〈東京ヤクルトスワローズ〉で公開された、村上が試合後のロッカールームで語った一言である。“明日の休み”‥‥ビハインドの場面で勝ちを確信していたとは驚きである。
ヤクルトは2年連続でペナントを制し、日本シリーズ進出を決めた。ヤクルトを3度の日本一に導いた野村監督でも、2年連続で日本一に輝いたことはない。高津臣吾監督が成し遂げれば、“野村超え”となるが、はたして‥‥。
(所ひで/ユーチューブライター)