厚生労働省の発表によると、2023年時点の日本人の平均寿命は、男性が81.05歳で女性は87.09歳だった。世界1位の長寿大国だが、実は学歴によって寿命の長さが異なるという意外なデータも上がってきている。
この興味深いデータを3月28日に公表したのは国立がん研究センターだ。30~79歳の約800万人分の人口データと約33万人分の死亡データをもとに推計したところ、男女ともに高卒は大卒以上の約1.2倍、中卒は約1.4倍も死亡率が高いことが明らかになったのである。
「世界的に見ても、健康に対する意識は学歴と比例しています。実際、糖尿病や高血圧などの発症率も大卒者の方のほうが少ない傾向にあるんです」(医療専門誌記者)
また、生活習慣においても学歴によって違いがあり、東京大学とエラスムス大学(オランダ)の研究チームが16年に発表した論文によると、日本人の男性の「学歴別喫煙率」は、中卒で57.8%、高卒43.9%、大卒以上は27.8%だった。さらに、米疾病対策センターが11~14年の統計をもとに発表した「学歴別肥満率」では、高卒未満が21.6%、大卒が9.6%と学歴の高い人ほど健康的な生活を送っているように見える。
「健康格差が生じる大きな要因は所得です。収入が少なければ、日々の生活の中で自身の健康に投資する経済的余裕はあまりないでしょう。一般的に所得は学歴と比例しているため、結果的に長寿の割合は高学歴の人に多いんです」(前出・記者)
ちなみに、国立がん研究センターは、学歴による死亡率の格差が大きい疾患も男女別に公表している。男性の1位は脳血管疾患、2位が肺がん、3位は胃がん、4位に虚血性心疾患という結果に。女性も3位と4位が逆なだけでほぼ同じだ。
「海外では死亡率格差が2倍を超えている国もありますが、日本はそこまでの開きはありません。ただ、現状でも決して看過できない格差があるのは事実です」(前出・記者)
学歴がどうであれ、長生きしたければ今以上に健康を意識した生活を送るように心がけたほうがよさそうだ。