石破茂「次の派閥の長は誰だとか、やっていていいんですかと」/テリー伊藤対談【1】

 選挙期間中に起きた安倍晋三元総理の銃撃事件は世界中を震撼させた。他にも長引くロシアによるウクライナ侵攻、円安に物価高など日本を取り巻く状況は厳しくなるばかりだ。そこで岸田政権が舵を取るべき方向は? 天才テリーが石破茂氏に斬り込む!

テリー 今日はやっぱりこの話から伺いたいんですが。安倍元総理の事件は、いつ、どういう形で知ったんですか。

石破 当日(7月8日)の11時35分ぐらい、正確な時間はわかりませんけども、事が起きて間もない内に、知己の記者さんからの「銃撃されて心肺停止との情報があります」というメールで知りました。

テリー 本当に驚かれたと思うんですけど、石破さんも街頭で演説する機会が当然ありますよね。怖いと感じることはあるんですか。

石破 私は街頭演説は好きなほうなので、危険はあるのだろうと思ってはいますが、怖いとかいうことはあまりありません。そういう災厄に遭いたくないから、なるべく発言は控えて、というのであれば政治家なんかやらないほうがいいですよね。

テリー 今はコロナ禍だからあんまりないのかもしれないですけど、街頭に出たら「握手してくれ」「写真撮ってくれ」って、みんな寄って来るじゃないですか。あれも怖いですよね。

石破 それももう活動の一環ですからね。政治家はお客様商売でもありますから「握手してくれたよ」「一緒に写真撮ってくれたよ」と言っていただくことは、とても大事なことですから。

テリー まぁ、ある種のファンサービスというか。

石破 まあ、警護官が付いている時は、あまり人だかりができると怒られたりしますけど。

テリー 最大派閥の長だった安倍さんが亡くなって、今後の安倍派はどうなるんですか。今のところ集団指導体制でいくと言ってますけど、なぜ安倍派にいるかと言えば、安倍さんがいることで、メリットがあったわけですよね。

石破 私は国会に議席をいただいて37年目なんですが、その間に田中角栄先生が倒れられたり、あるいは安倍晋太郎先生が亡くなられたり、いろんなことがありました。そういう時の派閥は、結局は分裂していましたね。本来は、トップの考え方、政治信条、政策、それらに共鳴して派閥やグループがあるのが理想なんでしょうけど、なかなかそういうのは流行らないのかもしれません。

テリー そうすると、これからの岸田政権にどういう影響が出るんですか。

石破 それはなるようにしかなりません。けれども、角栄先生や安倍先生が亡くなられた時は、まだ日本は高度経済成長期でした。今みたいに1年で60万人も人口が減る状況ではなかったし、まさか核兵器を持つ国連安保理常任理事国が戦争を始めるなんて夢にも思っていなかった。つまり日本を取り巻く状況は、当時より今のほうがよっぽど深刻だと思うんです。

テリー そうですよね。

石破 そういう時代に、昔と同じ感覚で、「次の派閥の長は誰だ」みたいなことをやっていていいんですかと。日本は政治家のためにあるわけじゃないので、この国をどうするのかを、派閥じゃなくて「自民党としてちゃんと考えようよ」ということが必要だと思います。

*テリー伊藤対談【2】につづく

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