テリー 息子さんは今、おいくつなんですか。
野田 12歳です。
テリー どのくらいの障害があるんですか。
野田 脳梗塞だったので身体障害右麻痺と、知的障害でIQは40足らずです。気管切開して人工呼吸器をつけているので、ご飯は口から食べられなくて、「胃ろう」といって1日4回、流動食を胃へ流し込む感じですね。
テリー お話はできるんですか。
野田 うーん、できますよ。時々クソババアとか言われます(笑)。
テリー アハハハハ、そうなんだ(笑)。例えば僕と初めて会ったとして、そういう時は?
野田 照れます。
テリー でも、しゃべってくれる?
野田 そんなにたくさんはしゃべりませんけど、テリーさんがおっしゃることはわかります。
テリー 自分の意思も言うんですか。
野田 慣れてくるとね。うちの秘書にはしゃべってますから。
テリー 何か趣味はあるんですか。
野田 スマホですね。LINEやYouTube、TikTokやインスタが好きで。IQ40なくても、私なんかよりスマホの操作はうまいです。考えてみると不思議ですよね。別に教えてもないし、取扱説明書もないのに。
テリー へぇ、すごい。じゃあ、ほんとに今時のお子さんというか。
野田 だから、「健常」とか「障害」っていうのは、社会が作った勝手な枠で。私たちにとっては普通の息子ですから。
テリー そうですよね。僕もこの前まで慶応大学の大学院に行っていて、障害のある方と話す機会があったんですけど、みんな「幸せだ」って言ってました。
野田 私も息子と出会ってから「健常」っていう言葉には疑念を持つようになりました。健常者ってどこにいて、誰のことを言うのかなって。みんなそういう言葉に踊らされてるんですよ。それで敵とか味方を作って、バカバカしいなって。そういう意味では私は息子と出会って、人として見ることができるので、よかったなと思います。
テリー 以前、総裁選に出たじゃないですか。ああいう思いは、これからも当然あるわけですよね。
野田 そうですね。あの時、大手4紙は「惨敗」とか「お話にならず」的な論評をしてくれましたけど。でも、結果として総得票数63票で「こども家庭庁」を作ることができた。そういう経験があるので、これからもいろんな制度や法律を作っていきたいと。やっぱりパラダイムシフトを作れるのは総理だなと思うんですよ。女性が総理大臣になったら、ものすごく、いろんなことがドミノのように変わっていくと思います。
テリー 具体的にはどんな国がいいと思いますか。
野田 みんなが背伸びしなくてもよくて、喜んで納税できる国にしたいですね。実は障害者って、税金を払いたいっておっしゃるんですよ。でも、障害者だから払えない。雇用が限られてたり、寝たきりだとヘルパーさんがいないと生きていけないけど、そういう人たちが「納税したいしたい」って言ってくれてるんです。でも、普通に働いて納税できる人は納税したくないと言う。
テリー なんか、うまくいってないですよね。
野田 だから誰もが自分のレベルに応じて、「この国に税金を払いたい」っていう気持ちになれる国を多角的に作っていきたいですね。それにはまず障害者が納税できる国にしたいですね。
テリー 今日はありがとうございました。
野田 ありがとうございました。今度、ぜひ息子に会ってください。夏に軽井沢ですれ違ってるんですけどね。
《テリーからひと言》
じゃあ、来年の夏は軽井沢で。息子さんに会えるの楽しみにしてます。
ゲスト:野田聖子(のだ・せいこ)1960年、福岡県生まれ。1987年、当時最年少の26歳で岐阜県議会議員に初当選。1993年、衆議院議員初当選。1996年に郵政政務次官、1998年に郵政大臣を務める。2005年、いわゆる郵政選挙の影響で、自民党を離党。2006年、復党。以降、消費者行政推進担当大臣、自由民主党総務会長、総務大臣、自由民主党幹事長代行、こども政策担当大臣などを歴任する。現在は自由民主党情報通信戦略調査会長。最新著書「野田聖子のつくりかた」(CCCメディアハウス)発売中。