巨人・中田翔が8月11日の中日戦から4番を務めている。4番に入ってからの中田の成績だが、18打数7安打の打率.388、本塁打2、打点6と絶好調である(8月16日終了時点)。中田自身は「岡本(和真の調子)が戻ってくるまで」と謙遜するが、14日の広島戦で決勝打となる二塁打を放った3番・丸佳浩は、
「もし僕が駄目でも、次に良いバッターがいるので」
と“中田効果”を語っていた。
「岡本が復調しても、今季は『4番中田』のままでいいのでは?」
そんな声も多く聞かれた。
話は2017年の第4回ワールド・ベースボール・クラシックに遡る。代表の4番は筒香嘉智に譲ったが、「ここぞ!」という場面では強い存在感を見せつけている。
「中田はチームトップタイの本塁打3、打点8。打率は2割6分台でしたが、これだけの数字を残せたのは、中田の性格も影響していると思います。頼りにされていると思うと、『やってやろう!』という気持ちになるんでしょう」(球界関係者)
また、中田には長く4番を務めてきたキャリアがある。貫祿という点では、まだ20代の岡本も敵わないだろう。
しかし、同時に「巨人の4番」には独特の緊張感と重圧があるという。フリーエージェントなどで移籍してきた選手が活躍できなかったのは、旧在籍チームとは比べ物にならない注目度によるもので、まして「4番」ともなれば、好機で打てなかったときのバッシングは相当なものだ。
「岡本を4番の大役からちょっと休ませてやろうという話になったとき、坂本勇人が一軍にいたら、坂本で決まっていました。丸、ポランコも候補に挙がりましたが、原辰徳監督が中田でゴーサインを出したんです」(前出・球界関係者)
中田は逆に成績を上げたのだから、持って生まれた4番打者の資質があるのだろう。終盤戦のキーマンになりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)