巨人・山﨑伊織投手が4月30日の先発登板で(対広島=東京ド
山﨑は2020年6月、東海大時代に右肘のトミー・ジョン手術を受けたが、その年のドラフトで巨人が2位指名。内定していた社会人チームから了承を得た上で、ドラフトのわずか3週間前にプロ入りを決意したという。当時について、「指名したのが巨人だったことや、原監督が東海大OBであることから“密約説”も囁かれたほどの獲得劇だった」と、ある巨人担当記者は語る。
プロ1年目はリハビリに専念。「球団から『しっかり治せ』という異例の方針を示されていた」(同記者)という。そして今季、巨人の課題の一つは、昨季15勝の菅野智之が抜けた穴を誰が埋めるか、という点だった。
そんな中、桑田真澄2軍監督は「投手陣の大型補強は必要ない」と明言し、一方で山﨑の“何事にも動じないメンタルの強さ”を「我がチームの宝」と称賛していたという。山﨑が菅野の穴を埋める1人になる確信があったのだろう。
山﨑の快進撃の要因のひとつに、フォークボールで確実にアウトが取れるようになった点が挙げられる。これは内海哲也1軍投手コーチからの直接指導の成果だ。また、リハビリ中に桑田2軍監督から贈られた「人間はできないのではない、やり方を知らないだけだ」という言葉も、山﨑に深く響いたという。
同じくトミー・ジョン手術の経験を持つ桑田2軍監督は、「この手術はとにかくリハビリ期間が長い。メンタル面で支えてあげたい」と語っており、その“親心”が、山﨑の躍進を陰で支えているのだ。
(小田龍司)