近年、増加の一途をたどる北海道でのヒグマの目撃情報。田畑を荒らし、家畜を襲うだけでなく人に対する被害も急増。21年の死傷者は12人(うち死者4人)で統計が残っている1962年以降では最悪となった。
道内のヒグマの個体数はこの30年でほぼ倍になっており、20年度時点の推定生息数は1万1700頭。特に多いのは道東エリアだが、なかでも標茶町や隣接する自治体では「OSO18」というコードネームが付いたヒグマの被害が大きな問題となっている。
「名前の由来は、最初に発見された場所(標茶町オソツベツ地区)、それと現場に残っていた18センチという足跡の横幅(18センチ)です。19年以降、標茶町や隣の厚岸町でOSO18と見られるヒグマに家畜用の牛が襲われる被害が後を絶たず、その数なんと63頭。ワナを設置したり、ハンターの巡回を増やしていますが警戒の網をかいくぐって襲撃を重ね、地元では“忍者グマ”などと呼ばれて恐れられています」(地元酪農関係者)
体長は推定3メートル、体重は400キロとも言われており、ヒグマの中でもケタ外れの大きさ。これは1915年に苫前町で死者7名・負傷者3名を出した三毛別羆(さんけべつひぐま)事件のヒグマに匹敵するサイズだ。
「今のところ、ヒトが襲われたとの報告は入っていませんが、これだけは絶対に避けなければいけません。仮にその味を覚えてしまった場合、ターゲットが牛ではなく人間になる可能性があるからです」(同)
実際、住民からは「市街地にも現れるため、おちおち散歩もできない」(70代男性)、「エサ目当てに畑に入り込むヒグマもおり、農作業中に襲われるんじゃないかと心配」(50代男性)といった不安の声も。
「成体のヒグマの行動範囲は100キロ四方にも及び、しかもあの一帯はほとんどが原野や山林。正直、お手上げの状態です」(同)
これ以上被害が増えなければいいが…。