男女の「人口減少格差」で浮上、結婚がもっとも難しい地域とは?

 総務省から1月末に「住民基本台帳人口移動報告 2022年結果」が公表されたが、コロナ禍に入って人口減少が続いていた東京では再び増加。人々の都心回帰が明らかになった。

 さらに同データを調べると、「男女ともに人口が減少」が33県、「女性のみ減少」は3県、「男女ともに増加」は10都府県で「男性のみ増加」が1県と判明。なかでも女性の転出が圧倒的に多かったのは北海道で、男性の123人減に対して女性は3353人減。転出者数は女性のほうが27.3倍も多く、減少エリアの全国平均が1.3倍であることからいかに突出した数字であるかがわかる。

 社会学者が言うには、

「各自治体ともに転出・転入者の過半数は10〜20代で進学や就職によるもの。しかし、北海道のように男女どちらかの流出が極端に多いのはかなり深刻です。なぜなら男性にとっては同年代のパートナーを見つけるのが大変で、結婚が難しくなるからです」
 
 ちなみにワースト2位は転出超過10.4倍の大分県、3位に4.3倍の鹿児島県と続く。また、男性は転入者が増加傾向ながら女性は転出者のほうが多い群馬県と栃木県、熊本県も男女の転入出格差が大きい地域だ。

「日本は総人口こそ女性のほうが多いですが、1月に総務省が発表した『人口推計』によると、結婚適齢期の20〜30代は男性のほうが女性より61万人多いんです。そのため、女性の転出超過が顕著な地域ほど男性の未婚や晩婚化の可能性が高いということ。地方の農村在住などの男性に独身者が多いのは、こういった背景もあります」(社会学者)

 ただし、反対に転入超過の10都府県のデータを見ると、東京・神奈川・千葉・大阪・福岡・滋賀・宮城の7都県が女性の転入者が男性を上回る。このうち東京は8695人、千葉は3454人、大阪は4061人も多い。

「いずれも大都市圏で平均初婚年齢は遅いですが、それは仕事を優先させるなど地方とのライフスタイルの違いによるもの。進学先や就職先の多さに加え、出会いのチャンスもある以上、若者が都会を目指すのは致し方がないところです」(前出・社会学者)

 いかに女性の人口流出を防ぐかが地方の各自治体にとって大きな課題かもしれない。

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