コロナ禍に激減していたテレビ番組の地方ロケ。現在はほぼ通常モードに戻ったが、「ここに来てキャンセルが相次いでいる」と業界内で囁かれているのが北海道ロケ。その理由はずばりヒグマだという。
「今年は特にヒグマの目撃件数が多く、過去最多ペースです。しかも、5月には道北の朱鞠内湖で釣り客が襲われ亡くなっている。札幌中心部など市街地での撮影なら問題ありませんが、郊外でのロケはリスクが大きすぎます」(番組制作会社幹部)
実は、お笑い芸人「ダイノジ」の大地洋輔とロック歌手の上杉周大が出演する地元局の人気ローカルバラエティ「ブギウギ専務」(STV)も5月31日、十勝の上士幌町でのロケ中、番組企画で自転車を漕ぐ2人の目の前をヒグマが横切るというアクシデントが起きた。当然、撮影は中断となり、2人はスタッフの車に避難した。
また、6月24日に札幌で行われた格闘技イベント「RIZIN.43」の会場周辺でもヒグマが出没して開催が危ぶまれた。大会終了後の会見でRIZIN最高責任者の 榊原信行氏は、「クマが出る場合のマニュアルも加えなくてはいけない」と注意喚起している。
他にも北海道日本ハムファイターズの新本拠地「エスコンフィールド北海道」(北広島市)周辺でも目撃情報が後を絶たない。
「ここまで出没件数が多いと、『帰れマンデー見っけ隊!!』(テレビ朝日系)や『鉄道沿線歩き旅』(テレビ東京系)など、散歩系の番組など出演者が現地を歩く番組のロケは難しい。ヒグマの走る速度は最高時速60キロ。『逃走中』(フジテレビ系)のハンターどころか全盛期のウサイン・ボルトよりも速いため、追いかけられたら逃げるのは不可能です」(同)
昔ならヒグマ遭遇という撮れ高があるため撮影を強行したかもしれないが、やはりタレントやスタッフの安全が最優先。番組ロケどころか市民生活にも影響が出ている以上、国や自治体は本気でヒグマ対策に取り組んでほしいものだ。