懸念高まる「ロシアの北海道侵攻」 小説や漫画では大人気テーマだった

 依然として停戦の気配さえ見えないロシアによるウクライナ侵攻。それどころか極東地域におけるロシア軍の動きも活発になり、4月14日にはショイグ国防相が「太平洋艦隊が戦闘準備態勢に入った」と発表。18日から22日にかけて択捉島を含む地域でミサイル訓練が行われることが判明し、日本政府がロシア側に抗議したことを松野官房長官が17日の会見で明かしている。

 政府がこれほど神経を尖らせるのは隣国ゆえのことだが、同国についてはソビエト連邦時代から仮想敵国とみなし、当時の防衛庁が北海道に上陸された際の自衛隊の防衛地点などを詳細にシミュレートし、さまざまなオプションを用意していたことは有名な話だ。

 その脅威は、ここにきていよいよ高まっているような不安もあるが、その一方で、創作物には格好のテーマでもあることも事実。実は、ロシア軍の北海道上陸を描いた小説や漫画は多く、斯界ではかなりの人気なのだ。

 小説「小隊」(砂川文次/文藝春秋)は、主人公の陸上自衛隊3尉の目線から描いたリアルな描写が特徴。20年の第164回芥川賞の最終候補作品にも選ばれている。

「作者は対戦車ヘリコプター『AH-1Sコブラ』のパイロットを務めていた元自衛官。それだけに地上戦の描写は映像を見るようにリアルです。砂川氏は22年1月にコロナ禍の東京を描いた『ブラックボックス』で芥川賞を受賞しており、その効果と、直後に始まったウクライナ戦争の影響もあってヒットしています」(文芸ライター)

“ロシア軍上陸小説”は他にも「道北戦争1979—シビリアンコントロール機能せず」(木元寛明/光人社)や「架空戦記 日本本土上陸戦—昭和二十二年の太平洋戦争」(桜井英樹/光人社)、「真世界大戦 北海道奇襲編」(吉田親司/コスミック出版)、「時空大戦」(草薙圭一郎/コスミック出版)といった作品がある。

 漫画でも「ソ連軍日本侵攻」(都島京弥と有事研究グループ/芳文社)や「バトルオーバー北海道」(小林源文/ナンバーナイン)などが傑作だ。
 
「また、小説投稿サイトの『小説家になろう』や『カクヨム』にもロシア軍やソ連軍の北海道上陸を描いた作品はいくつもあり、こちらは無料で読むことができます」(前出・ライター)

 GW中は緊迫した世界情勢を感じながら、これらの架空戦記にどっぷり浸るのもありだろう。

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