実戦で使える核の小型化に成功して「宣戦布告」されれば、韓国とアメリカの分断は必至。そうなれば、日本は〝傍観者〟として、手をこまねいているしかないのか。
「北朝鮮は日本に届く射程の弾道ミサイルを最低でも100発以上持っています。核弾頭を搭載して攻撃する能力があることは、最新版の防衛白書にも書かれている。6月5日に撃たれたミサイルも撃ち方によっては、北九州や山口県に届く可能性もありました。北朝鮮が韓国軍の基地と同時に在日米軍基地を狙うとは思えませんが、『自衛隊が動けば容赦なく東京に核を撃ち込む』と脅されたら、日本政府は何もできないのが現状です」(潮氏)
南北統一のためにアメリカと日本の動きを牽制するのは、故金日成主席が遺した教えでもあった。
「国連軍の介入で統一に失敗した金主席は、65年に特殊武器製造のエンジニアを育成する学院の開院式で、『第2の朝鮮戦争が起これば、アメリカと日本が介入するはず。それを防ぐために、長距離ロケット部隊が必要になる』と、伝えていました」(軍事ジャーナリスト)
積年の恨みをはらすべく、日米の動きを抑え込めれば、短期決着で「韓国制圧」が成し遂げられると目論んでいるようだ。
北朝鮮の戦慄シナリオの本気度は、5月にも韓国民を震え上がらせた。前出・外信部記者がこう明かす。
「韓国陸軍の大尉が逮捕・起訴されたのですが、北朝鮮の工作員から約490万円相当の暗号資産を受け取っていました。大尉は半島有事における『斬首部隊』に所属し、実際に部隊が戦場でどう行動するのか、機密情報が北朝鮮側に筒抜けになっていたのです」
一方、大国アメリカが脅しに屈しなければ、戦況はガラリと変わる。その時は平壌や核実験場がある豊渓里(プンゲリ)が軍事衝突の舞台になる可能性が高い。
「水爆レベルの核弾頭を搭載したミサイルが発射寸前であれば、発射前にアメリカは攻撃を仕掛けると思います。ウクライナ侵攻も早い時期から正確にロシア側の情報を掴んでいましたが、北朝鮮内部にもスパイを潜らせているはず。そうなれば、考えられるのはトランプ政権が脅しに使っていた空母機動部隊の出撃や潜水艦から発射する巡航ミサイル『トマホーク』による攻撃。空からはステルス戦略爆撃機『B-2』を飛ばし、最高指導者の抹殺も考える一方、ロシアがウクライナ侵攻で使った『バンカーバスター(地中貫通爆弾)』で、ピンポイントで特定の目標を破壊し、総攻撃で制圧するでしょう」(潮氏)
「ロケットマン」の差し迫る暴発は、もはや制御不能か。最悪のシナリオが現実に起きないことを願うばかりだ。
*「週刊アサヒ芸能」6月23日号より