もしロシア軍が北海道に上陸したら…防衛ラインは道内人口最小の村だった?

 ウクライナへの軍事侵攻を非難した日本を非友好国と認定し、威嚇するように北方領土や千島列島で軍事演習を続けるロシア。日本政府は仮想敵国を想定していないため、個別の国に対する具体的な防衛計画は立てられないが、「それはあくまで表向きの話。実際には中国や北朝鮮と並び、ロシアを仮想敵として捉えている」と指摘するのは軍事ジャーナリスト。

 特に陸上自衛隊は北海道に最も多くの人員を割き、防衛上の最重要拠点となっているという。

「近年は対中国に備え、北海道の人員を減らして九州や南西諸島を含む、西日本を増員したほうがいいとの意見が防衛省内でもありました。しかし、今回のウクライナ戦争でロシアの脅威が改めて認識されています」(同)

 ちなみにロシア軍が仮に北海道に侵攻する場合、考えられる上陸ポイントは、稚内などの道北と、北方領土から入る根室などの道東の2カ所。このうち道北からの上陸を許した際、自衛隊が防衛ラインに設定していると言われているのが音威子府(おといねっぷ)村だ。

「ここから稚内に向かうにはJR宗谷本線とほぼ並行する国道40号、オホーツク沿岸から北上する国道275号・238号経由の2つのルートがあり、分岐地点が音威子府なんです。つまり、道北に上陸したロシア軍が旭川方面を目指す場合、必ずここを通るわけです」(同)

 しかも、音威子府村の人口は669人(※2月末時点)と道内最小。ゆえに有事の際には素早く村民を避難させられるとの利点もあるとか。

「この一帯は道内でも有数の過疎地帯。しかも、周囲を山に囲まれています。守りやすく攻めにくい土地のため、ロシア軍はウクライナ以上に苦戦を強いられるでしょうね」(同)

 太平洋戦争でもなかった日本本土の防衛戦なんて想像もしたくないが、ほんの数カ月前まではウクライナ全土が戦場になるとは世界中の多くの人が予想もしていなかったはず。このシナリオが現実のものとならなければいいが…。

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