闇バイト逮捕者を待ち受ける「生涯反社扱い」(1)楽に金を稼げる仕事がしたい

 特殊詐欺や強盗などの実行役、犯罪の支援などに従事する闇バイトは、依然として大きな社会問題となっている。儲かるからと安易に手を出したら、待っているのはまさに「闇」という現実なのである。

 闇バイトの逮捕者の社会復帰について働きかけをしている、弁護士で法務委員会所属の衆院議員・藤原規眞氏(立憲民主党)が語る。

「私は過去に国選弁護人として、闇バイトに応募して特殊詐欺の受け子をやった若者の弁護を複数担当したことがあります。いずれも半グレや暴力団などではなく、どこにでもいるような普通の若者でした。彼らと話していて、本件の罪を償う必要はあるが、真面目に更生して社会復帰してほしいと思いました。2年ほど前、何とか執行猶予判決を勝ち取って、社会内処遇で済んだ1人の青年は、溺れていた子供を救うため、着衣のまま川に飛び込んで救助した功績で、過去に警察署長に表彰されたことがある善良な市民だった。自ら進んで人を騙し、金を巻き上げようなどと考える悪人ではなかったのです」

 青少年の闇バイトを募集し、手足のように使っているのは、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウという犯罪集団だ。トクリュウは半グレや準暴力団のほかに、偽装離脱した暴力団員、不良外国人だけではなく、組織の概要を何も知らない学生や一般人までもが含まれる〝多国籍軍〟で、その正体がなかなかつかめない。

 警察庁の発表によると、2024年の1年間に検挙された人員は1万105人に上り、暴力団犯罪検挙人員を上回っている。

 トクリュウ犯罪の主な検挙人員は、詐欺2655人、窃盗991人、薬物事犯917人、強盗348人、風営法違反292人。全摘発者の約4割(3925人)は、SNSで闇バイトに応募して事件に関与した末端従事者だったことが浮き彫りになっている。結果、手駒を失っただけで野放し状態の統括役や指示役は、また闇バイトを募集して新たな犯罪を繰り返すだけであろう。

 現代の若い世代は、幼少期から安直で即効性のある情報に触れることで、効率性を求める傾向にあるとの指摘もある。

 法務省法務総合研究所が犯罪者、非行少年に対して行った調査によると、〈汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事がしたい〉の項目で「そう思う」に該当する者の構成比が対象者全体の43.3%にも上っているのである。

フリーライター・丸野裕行

(つづく)

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