参院選をにらみ小池百合子都知事がいよいよ動き出した、という情報が永田町を駆け巡っている。政治アナリストが言う。
「昨年の都知事選に出馬したAIエンジニア安野貴博氏が、このほど夏の参院選に向け新党『チームみらい』を立ち上げ、自らも出馬を表明した。この背後に、小池都知事がいるのではともっぱらなのです」
安野氏は東大工学部卒業後、外資系コンサル会社のボストン・コンサルティングを経て、AIスタートアップ企業を創業した、まだ34歳の日本のAI研究の若手第一人者である。昨年の都知事選では初挑戦ながら全体5位、15万4600票を集めてがぜん注目された。
先のアナリストが小池氏の影が見え隠れする根拠をこう明かす。
「小池氏は安野氏の新党構想記者会見後、『政党を回していくには結構な労力がかかる』と皮肉るなど第三者的発言をしていた。しかし私は安野氏のバックに小池氏がいると推察する。というのも小池氏は、次の参院選で石破自民党が大敗すれば総辞職に追い込まれるとみている。では、主導権はどの政党が握るのか。小池氏は2017年に今の国民民主党代表の玉木雄一郎氏と組み『希望の党』を立ち上げて、政権奪取に動いた過去がある。以来、玉木氏とはツーカーの仲だ。石破自民党が負ければ国民民主が自公と連立を組み『玉木総理誕生』というシナリオも伝えられるが、玉木氏もその方向でやる気満々だという。しかし、玉木人気も持ってそこまで。そこで次に小池氏が白羽の矢を立てたのが安野氏と目される」
小池氏は昨年11月、安野氏に都のデジタル政策推進のため一般財団法人「GovTech東京」のアドバイザーを依頼、就任させている。都政担当記者が明かす。
「小池氏は今後の日本や東京が世界に大きく飛躍するには人工知能、ICT化が大きなカギを握ると見ている。その意味で安野氏を高く評価、GovTech東京のアドバイザーを依頼した。しかし、そこにとどまらず安野氏にテクノロジーによる政治改革を期待しているのは明らかです」
先のアナリストが引き取って続ける。
「つまり小池氏は、今夏の参院選で『チームみらい』が数議席確保すれば、次の衆院選では安野新党が大きく飛躍すると見ている。かつて小池氏が政界に打って出た『日本新党』が躍進したように。要は次の衆院選後には国民民主と安野新党が核になり、自公とどう政権を作るのかを見ている。つまり玉木・安野政権みたいなものを考えている」
アメリカがトランプ政治でこれだけドラスチックに動いている時代だ。日本政界に新しい波がきても不思議はないし、その仕掛け人が小池氏、動くのは玉木・安野両氏というラインも十分考えられうるだろう。
安野氏は「チームみらい」の記者会見で新党の狙いをこう訴えた。
「テクノロジーを駆使し政治をアップデートしたい」
その姿は、台湾のデジタル大臣として世界から注目を浴びたオードリー・タン氏と重なる。安野新党にどのような顔をそろえられるのか。まずはお手並み拝見だ。
(田村建光)