今月のダイヤ改正に伴い営業を終了した全国のJR駅は、JR東日本管内が2駅、北海道管内が7駅の計9駅。その開業時期を調べると、102年の歴史に幕を閉じた根室本線の糸魚沢駅(北海道厚岸町)をはじめ、北海道の6駅が戦前・戦時中。そして、JR東日本の平石駅、矢美津駅(いずれも秋田県横手市)も60年近い歴史があることがわかった。
そんな中、函館本線の「流山温泉駅」(北海道七飯町)が開業したのは2002年。ちなみにJR北海道では今月、今世紀2番目の新駅「ロイズタウン駅」(北海道当別町)が誕生したが、21世紀最初の駅こそが今回廃止された流山温泉駅だったのだ。
営業期間はわずか20年。JR発足以降、ここまでの短命駅は異例と言ってもいい。
臨時駅では国鉄末期の87年6月、天北線(※89年に廃線)に「東声問駅」がわずか1日で廃止となったが、これは稚内空港の滑走路延伸と新ターミナル完成のリニューアルオープンに合わせたもの。また、常設駅では新潟県黒埼町(※現新潟市)の新潟交通電車線の「ときめき駅」が97年3月に開業するも、99年4月に廃止。だが、これは開業後に路線全体の廃線が決定したためだった。
ちなみに流山温泉駅も廃止理由は他の駅と同様に利用客の減少だが、その背景には「リゾート開発の失敗」があるようだ。
「ここはJR北海道のグループ会社が運営する温泉やキャンプ場、牧場などがあり、そのオープンに合わせて開業された駅でした。しかし、流山温泉駅は函館本線から分岐した砂原支線の沿線駅で特急も通らず、普通列車も極端に少なくアクセスが悪かった。過疎地域で周辺からの客足も伸び悩み、開業当初から赤字続き。15年に温泉が閉鎖された後は別の事業者に施設が売却され、今は牧場が細々と運営されている状態です」(ビジネス誌記者)
駅名にも付けられている“温泉”がなくなった時点で、残念ながら駅としての利用価値はすでに失われていたようだ。
(高島昌俊)